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遅延型皮膚反応

【読み】
ちえんがたひふはんのう
【英語】
cutaneous reaction of delayed type
【辞典・辞典種類】
歯科臨床検査事典
【詳細】
【意義・目的】遅延型皮膚反応は、皮膚におけるリンパ球によるIV型アレルギー反応で、抗原を注入あるいは貼付すると、24~48時間後に反応が発現する。一次および二次遅延型皮膚反応に分けられ、前者は生体が初めて遭遇する抗原(newly encountered antigen)に対する反応で、後者は過去に出会っている抗原(recall antigen)に対する皮膚反応である。一次遅延型皮膚反応の抗原としては、DNCB(2、4-dinitrochlorobenzen)あるいはPHAが用いられるが、特にDNCBは感作性きわめて強いため、生体の遅延型免疫機能を知るために種々の疾患で検査されている。二次遅延型皮膚反応の代表はツベルクリン反応で結核菌による生体の感作の有無を知るため行われる。このほかrecall antigenとして、SK-SD、カンジダ、ムンプスなどが用いられる。
【適応疾患名】結核症、癩、リステリア症、真菌症など遅延型過敏性反応を伴う感染症、免疫不全症、悪性腫瘍などの診断、治療、あるいは予後の判定、接触性皮膚炎おけるアレルゲンの同定。
【検査法】1)ツベルクリン反応:市販の精製ツベルクリン(purified protein derivative、PPD)を希釈して、0.5μg/mlPPD溶液を作る。これをツベルクリン針(26G)をつけたツベルクリン注射器で前腕屈側の皮内に0.1ml注入し、円形貧血性の隆起を形成する。判定は48時間後に行い、注射部位の発赤の直径(mm)を計測するとともに、硬結、二重発赤、水疱、出血、壊死などの有無を記載する。
2)パッチテスト(貼付試験):パッチテスト用絆創膏(パッチ絆)のリント布に、アレルゲンを液状のものは1滴(0.05ml)、ワセリン基剤のものはマッチの軸頭大(0.03g)を塗布し、それを背部あるいは上腕内側に貼付する。48時間後にパッチ絆を除去し0~60分後および翌日(72時間後)に反応を判定する。DNCB貼付試験は、1%DNCBアセトン液0.05mlをパッチ絆に滴下し、乾燥したあと上腕内側に24時間貼付する。2週間後貼付部位に反応がないかわずかな場合、0.1%DNCB液0.05mlを他側の上腕内側に48時間貼付し(惹起反応)、除去した後の皮膚反応を判定する。
【判定】皮内反応は発赤の長径が10mm以上を陽性とする。パッチテストの場合は、紅斑の有無を中心に浮腫、水疱、壊死などを総合して。-~5+の5段階に判定する。
【結果・評価】ツベルクリン反応、DNCB貼付試験とも、健常人ではほぼ陽性となる。陰性の場合は細胞性免疫能の低下が疑われ老化、悪性腫瘍の末期、サルコイドーシスなどで陰性となることがある。パッチテストの判定においては、刺激性反応とアレルギー反応との区別が難しい。そのため、48時間判定だけでは不確実なので、72時間判定を行う必要がある。パッチテスト陽性の場合、その抗原をアレルゲンとしてその個体から可及的に回避する。