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TP感作血球凝集反応

【読み】
てぃーぴーかんさけっきゅうぎょうしゅうはんのう
【英語】
treponema pallidum hemagglutination reaction、TPHA reaction
【辞典・辞典種類】
歯科臨床検査事典
【詳細】
【意義・目的】梅毒の血清学的診断法には、脂質抗原(カルジオリピン)にレシチンを用いるSTS(serological test for syphilis)と梅毒の病原体であるTreponema pallidum(TP)を抗原とする特異的な検査法がある。このTPHA反応は、破壊した病原体成分をホルマリン・タンニン酸処理ヒツジ赤血球表面に結合させ、患者血清中の抗TP抗体の有無を調べるもので、鋭敏で特異性が高く、術式が簡単なため、日常検査に広く利用されている。
【適応疾患名】梅毒。
【検査法】(定性法)試薬は市販のTPHAテストキットを使用する。
1)試験管に不活性化した被検血清を吸収希釈用液で1:80および1:160に希釈し、室温に30分以上放置して非特異抗体を吸収する。
2)80倍希釈血清を0.5mlずつトレイの穴2箇所に、160倍希釈血清を1箇所に移す。
3)感作血球を血球滴下用スポイトで2滴ずつ1:80の一方の穴と1:160の希釈液に加える。別のスポイトで未感作血球の2滴を1:80の他方の穴に加える。
4)トレイを振盪して内容をよく混和し、静置する。
5)3~4時間後に一次判定、翌日(約18時間後)二次判定を行う。反応は明るい部屋の机の上に白紙を敷くか、観察箱の上にトレイを静かに置き、カップの底の血球沈下像を見る。
(定量法)被検血清を吸収希釈液で1:80から2倍連続希釈、または4倍連続希釈で0.5mlずつとり、定性法と同様に行う。
【判定】陰性:血球がボタン状あるいはリング状に集まり、外縁はなめらかな円形を呈する。
 判定保留:血球リングが対照と同じかわずかに大きく、リングの厚さも比較的厚く滑らかで、周辺にわずかに凝集のみられるもの、および陰性と陽性の中間のもの。
 陽性+:血球リングが対照よりも明らかに大きく、リングの厚さも薄く、粗く、周辺に多くの顆粒状沈澱がある。
 陽性2+:血球凝集が均一に起こり、膜様となる。
 陽性3+:凝集像の一部が中心に向かってスリップした状態のみられるもの。
【結果・評価】80倍希釈で+以上の凝集を陽性とし、陽性を示す最高希釈倍数を抗体価とする。なお判定保留の場合は、血清希釈1:20または1:40で再検査し、未感作血球対照が陰性で、本試験が+以上の凝集を示すものは陽性、(±)の場合は陰性とする。
 TPHAは特異性、再現性ともに優れているが初期梅毒での陽性率が低いので、初期梅毒が疑われればFTA-ABS法を行う必要がある。また、本法は治療後陰性化しにくく、生物学的偽陽性はほとんどない。