T・B細胞百分率検査
- 【読み】
- てぃー・びーさいぼうひゃくぶんりつけんさ
- 【英語】
- B cell/T cell ratio
- 【辞典・辞典種類】
- 歯科臨床検査事典
- 【詳細】
- 【意義・目的】 リンパ球は、細胞性免疫に関与するT細胞(胸腺由来)と抗体産生前駆細胞であるB細胞(骨髄由来)に大別される。これらの両細胞の数を算定することは、細胞性免疫や体液性免疫に異常があるか否かを知ることができ、またリンパ性白血病やリンパ性腫瘍性疾患の診断の補助ともなりうる。
【検査法】 T細胞は細胞膜表面にヒツジ赤血球(SRBC)に対する受容体(Eレセプター)を有し、試験管内でSRBCとEロゼットを形成する。B細胞は、その膜表面に免疫グロブリン(S Ig)をもっているので蛍光体法やイムノビーズほうなどで同定できる。またB細胞はFcレセプターを利用するEAロゼット法や補体レセプターを利用するEAロゼット法でも同定できる。T細胞の一部もFcレセプターや補体レセプターをもっている。
したがって、T細胞の算定にはEロゼット法、B細胞には蛍光体法がよく用いられているが、ここではT・B細胞を同時に測定できるEロゼット法+イムノビーズ法を述べることにする。すなわち、試験管にリンパ球浮遊液とイムノビーズ浮遊液を適当量入れ混和する。次いで37℃、15分間インキュベートし、ノイラミニダーゼ処理したヒツジ赤血球浮遊液を加え混和後、1000rpm、5分間遠心する。4℃、2時間、インキュベートし、0.1%トルイジンブル液1~2滴を加え、赤血球を静かに浮遊させた後、計算盤に取り算定する。
【結果・評価】リンパ球を300個以上かぞえ、ヒツジ赤血球が3個以上結合しているのがT細胞(Eロゼット)、イムノビーズが3個以上結合しているのがB細胞(SIg陽性)、赤血球とイムノビーズがともに1つのリンパ球に3個以上結合しているものはdouble marker cell、として各々のリンパ球の百分率を求める。
この方法による正常値は、T細胞(Eロゼット)は約70%、B細胞(SIg)約20%とされる。
T・B細胞の測定が診断と治療に関係あるものはリンパ系悪性腫瘍と免疫不全症候群(原発性、後天性)である。なかでも悪性腫瘍では、リンパ系細胞起源を知れば治療や予後に有用である。自己免疫疾患、癌腫、感染症などにおいてT・B細胞比の報告があるが、臨床的に不明の点が多い。