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Tリンパ球、Bリンパ球数の測定

【読み】
てぃーりんぱきゅう、びーりんぱきゅうすうのそくてい
【英語】
quantitative analysis of T and B lymphocytes
【辞典・辞典種類】
歯科臨床検査事典
【詳細】
【定義】リンパ球はTリンパ球とBリンパ球の2種類に大別されるので、検体中のリンパ球数とT・Bリンパ球の百分比を知ることによって、TおよびBリンパ球数を測定することをいう。
【意義・目的】Tリンパ球は主として細胞性免疫反応や免疫応答の調節作用に関係し、Bリンパ球はやがて分化して形質細胞となって抗体産生に関与することから、検体中のT・Bリンパ球数を測定することによって、その背後の免疫応答の動向をうかがうことができる。通常は末梢血中のリンパ球を測定するが、目的によりリンパ節や組織内の浸潤リンパ球などについても可能である。
【検査方法】ヒト末梢血中のリンパ球数の測定は末梢血中の白血球数をCoulter counterまたはTurk計算板により測定し、白血球百分比を塗抹標本のWright-Giemsa染色などによりリンパ球の割合を求めることによって計算されるのが一般的な方法である。
 リンパ球中のTリンパ球とBリンパ球の割合については種々の方法があるが、Tリンパ球がヒツジ赤血球に対して結合するレセプターを有していることを利用したEロゼット形成法で、Bリンパ球は表面免疫グロブリン(sIg)を有していることを検索する細胞膜蛍光抗体法によって測定することが一般的であったが、最近ではモノクローナル抗体を用いたフローサイトメトリー法によってTおよびBリンパ球の百分率を測定することが多くなってきている。
【正常値】ヒト末梢血中の白血球数の正常値は一般的には3000~7000/mm3とされ、白血球中のリンパ球百分率については20~40%程度とされているが、個人差や生理的変動の範囲も広く、範囲外をただちに異常とすることはできない。TおよびBリンパ球比率は末梢血ではEロゼット法によるTリンパ球は65~85%、sIg陽性Bリンパ球は20~30%程度であるが、モノクローナル抗体によるフローサイトメトリーでは、CD3陽性Tリンパ球はCD2に表現されるEレセプター陽性細胞よりやや広いTリンパ球を含むと考えられる。
【評価】生理的な変動の幅はかなり広いので、評価には各個体の経時的な変化も検索して考えることが必要である。しかしTおよびBリンパ球百分率の大幅な異常は、背景のTおよびBリンパ球の本態的な増加または減少を考える必要がある。