デンシトメトリックアナリシス(根分岐部)
- 【読み】
- でんしとめとりっくあなりしす(こんぶんきぶ)
- 【英語】
- densitometric analysis(furcation involvement)
- 【辞典・辞典種類】
- 歯科臨床検査事典
- 【詳細】
- 【定義】写真またはX線フィルムの黒色の度合すなわち黒化度を測定することにより、その写真(フィルム)を分析することである。
【意義・目的】通常、X線フィルムにおいては被検体(被写体)を何らかのすでに組成、密度および厚さの判明している標準物質(参照体)と同一フィルム上に撮影し、それらの黒化度を比較、対照させ参照体の厚さに変換して被検体に関する何らかの定量データとして分析するものであり、特に骨塩量の測定、分析などに応用されている。そして、歯周病においては歯槽骨吸収の程度や予後観察における骨変化の検索に応用可能である。
【適応疾患名】骨粗鬆症などの代謝性骨萎縮性疾患や透析患者などにおける骨萎縮の程度や比較、そして同一症例における骨変化の経過観察などに適応される。歯周病における歯槽骨の吸収、特に歯槽骨頂部や根分岐部などにおける骨の変化やその他根尖病巣などによる骨欠損の定量などにも応用が可能である。
【検査法】デンシトメトリックアナリシスには、通常デンシトメーターとコンピュータを利用したX線写真解析システムとしての装置が用いられる。以下にその方法の概略を述べる。
1)測定時には、デンシトメーターの所要条件を設定後、被検フィルムをステージに設置する。
2)適当な標準(参照体)ステップウエッジの黒化度の測定を行う。
3)各標準ステップでの黒化度の平均値を求める。
4) 黒化度を標準物質(参照体)の厚さ(当量)に変換する減弱曲線を求める。
5) アパーチャーの大きさを決定し、被写体の黒化度を測定する。
6) 被写体の黒化度を4)で求めた減弱曲線を用いて標準物質当量に変換する。
なお、経時的に観察する場合にはX線写真は規格撮影法で行われ、歯周病の検査では川崎の方法などの口内X線規格撮影法が用いられ、また参照体としてアルミニウムや銅、さらに乾燥骨やハイドロキシアパタイトやカルシウムなどで作成された模型によるステップウエッジが用いられる。
【結果・評価】骨のX線写真における参照体の厚さと黒化度とは、一般に減弱曲線の関係を示し、すなわちその厚さが増加すると黒化度は減少し、また骨塩量と黒化度との間にも同様な関係が有するといわれている。またアルミニウムの厚さ1mmと骨の1mmとは、ほぼ同じX線吸収を示す(A.G.Richards、1958)ともいわれている。