トルキングの必要性の分析
- 【読み】
- とるきんぐのひつようせいのぶんせき
- 【英語】
- cephalometric prognosis of required torquing
- 【辞典・辞典種類】
- 歯科臨床検査事典
- 【詳細】
- 【定義】ある物体に力が加わった場合に、その力の作用線が物体の重心を通らない場合、重心から距離と力との積からなる回転力(偶力)を生じ、このとき物体は回転を伴って移動する。torqueとはこのときの回転力を表わす。
歯の移動にも同様のことが考えられる。歯の移動においては歯槽骨や支持組織による反作用により、およそ歯根尖3分の1付近を臨床的な重心として移動が行われる。
歯軸の唇(頬)舌的な回転移動をtorquing、近遠心的な回転移動をupritingという。
矯正治療は最終的には歯冠の移動ではなくて歯根の移動であり、海綿骨の溝の中で歯根がneutralな位置になければ矯正治療後、後戻りをすることになる。そこでこれを達成する手段として歯根の移動を行わなければならない。
【検査法】不正咬合の矯正治療においては、上下顎中切歯を中心に頭部X線規格側貌写真ならびに口腔内膜型の分析から治療目標を設定し、また、治療後の評価を行う。
上下顎体の前後的ずれに対しては、頭部X線規格側貌写真におけるANB、A-B plane angle、angle of convexity、L-1 to mandibular planeなどの計測に基づき、上下顎前歯群の歯根のtorquingによってANBの改善をはかる。また、歯根のtorquingにより個々の歯牙を海綿骨の溝に整直させるためには、歯根の位置、歯軸傾斜、歯面の湾曲度などからtorquingの量を算出する。
マルチブラケット法においては、各のテクニックによって歯牙移動のフォースシステムが異なるため、Tweed法、Steiner法、改良型Begg法など、各テクニックに準拠した頭部X線規格側貌写真分析法が用いられ、それぞれに治療目標が設定されている。ただし、いずれの方法においても、多くの臨床結果からL1 to mandibular planeは約90°、U1 to L1は約135°のとき咬合は安定するといわれる。
たとえば、改良型Begg法においては、上顎前突症例の治療目標は、SN-Md40°以下のときU1 to SN97±3°である。したがって、U1 to SN93°以上のとき、原則として上顎切歯根の舌側へのtorquingは必要ないが、93°以下のとき、torquingは必要となる。また、L1 to Md90±3°が目標値であるから、90°以上のとき下顎切歯根の唇側へのtorquingが必要となり、85°以下のとき舌側へのtorquingが必要となる。一方、下顎前突症例においてはL1 to Md80~93°が目標値であるが、原則的には、L1 to Md85°以下のとき、下顎切歯根の舌側へのtorquingが必要である。
上顎前突の治療法においてII級ゴムを用いる場合、ゴムの力が強すぎると上顎中切歯は根尖側1/3を回転の中心として舌側傾斜する。このとき根尖は頬側に移動してcortical plateに触れ、A点を増加させてしまう。またtorquingによる根尖の移動量が大きくなり、根尖の吸収を引き起こす可能性が高い。
治療過程におけるtorquingの必要性を減少させるために、亀田はvery gentle(ultra)light forceすなわち従来よりももっと弱い力の〈2〉級ゴムとbite opening bendとを用いた方法を示している。
【治療】歯牙移動に際してトルクをかける場合、角型ワイヤーでつくられたアーチワイヤーならびにトルク付ブラケット、丸型アーチワイヤーに付加される丸型ワイヤーによるトルキングオジリアリーなどが用いられる。