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トロンボプラスチン生成試験

【読み】
とろんぼぷらすちんせいせいしけん
【英語】
thromboplastin generation test、TGT
【辞典・辞典種類】
歯科臨床検査事典
【詳細】
【定義】内因性トロンボプラスチン生成に関する血液凝固第1相の凝固因子異常を検査する方法。プロトロンビンを含まない基質中で、内因性トロンボプラスチンを生成させ、時間経過を追ってその一部をとり血漿に加え、血液凝固第2・3相を進行させて凝固時間を測定し、生成されているトロンボプラスチン量を知る方法である。
【意義・目的】被検者と対照正常者の血漿トロンボプラスチンを水酸化アルミニウムまたは硫酸バリウム吸着血漿(VIII、V、XI、XII因子を含む)と血清を相互に組み合わせ、血小板浮遊液と0.025M塩化カルシウム液を加えて37℃にて内因性トロンボプラスチンを生成させ、この反応液から経時的に一定量をとり正常血漿に加え、塩化カルシウム液を添加して凝固時間を測定する。反応系の組み合わせによりどの凝固因子の欠乏症であるかがわかる。すなわち、血小板(リン脂質)液および0.025M塩化カルシウム液はいずれの場合にも反応液に加えることとして、患者の吸着血漿と正常者の血清を組み合わせた場合、凝固時間の延長が認められ、正常者の吸着血漿と患者の血清を組み合わせた場合に異常がないときには、VIII因子欠乏症かV因子欠乏症である。また、患者の吸着血清と正常者の血清を組み合わせた場合に異常がなく、正常者の吸着血漿と患者の血清を組み合わせた場合に凝固時間の延長が認められたときには、IX因子欠乏症かX因子欠乏症である。また、患者の吸着血清と正常者の血清を組み合わせた場合に異常がなく、正常者の吸着血漿と患者の血清を組み合わせた場合にも異常がなく、患者の吸着血漿と患者の血清を組み合わせた場合に凝固時間の延長が認められたときには、XI因子欠乏症かXII因子欠乏症である。
 ただし、このときプロトロンビン時間を測定することによりVIII因子欠乏症とIX因子欠乏症では正常値を示すが、V因子欠乏症とX因子欠乏症では凝固時間の延長が認められるので鑑別は可能となる。
【検査法】
1)37℃恒温槽中の6本の小試験管に、正常血漿0.1mlずつを入れ、他の1本の小試験管には生理食塩水で5倍希釈した吸着血漿、生理食塩水で10倍希釈した血清、血小板(リン脂質)液をそれぞれ0.3mlずつ加え、これに0.025M塩化カルシウム液0.3mlを加えてストップウォッチを始動させる。
2)次いで、経時的に0.025M塩化カルシウム液0.1mlと、この混和液0.1mlを1分間隔で正常血漿の入っている6本の小試験管に加え、それぞれの小試験管について混合液を添加したときからの凝固時間を測定する。もし、6本目以後の小試験管に凝固時間の短縮が予想される場合には、さらに小試験管の数を増やして、最短凝固時間を得るまで測定する
【適応疾患名】XII、XI、IX、VIII、X、V因子の欠乏症。
【正常値】TGTの放置時間は3~4分で最短凝固時間を示し、その最短凝固時間は約10秒である。
【評価】吸着血漿または血清の一方もしくは両方が被検者のものである場合は、欠乏因子の種類によってトロンボプラスチン生成時間が延長し、最短凝固時間も延長する。血友病A、Bでは放置時間および最短凝固時間は正常血液に比し延長する。