ナトリウム
- 【読み】
- なとりうむ
- 【英語】
- natrium, Na
- 【辞典・辞典種類】
- 歯科臨床検査事典
- 【詳細】
- 【意義・目的】体液には細胞内液と細胞外液に分けられ、細胞外液は血漿と細胞間液からなっているが、電解質や蛋白など多種類の物質を溶かして生体の内部環境を維持し生命の保存に重要な役割をはたしている。この外液の中にナトリウムは総陽イオンの90%を占めて、浸透圧の調整や酸、塩基のバランスの維持に重要な役割をしている。したがって、水分や電解質のバランスに異常を来すような症状があらわれるとNaの値に異常がみられる。
【適応疾患名】高ナトリウム血症の場合は、Naの貯留を起こして浮腫が起こる。低ナトリウム血症のときは倦怠、悪心、循環不全、痙攣などの症状があらわれる。高ナトリウム血症の場合としては、水分の消失(脱水症)、副腎皮質ホルモンの長期投与などで、低ナトリウム血症の場合は飢餓、嘔吐、火傷、重症糖尿病、心不全、ネフローゼ症候群などの場合である。
【検査法】炎色反応を応用した炎光光度法、さらにイオン電極による測定装置も多く開発され簡易迅速に測定できる。これは試料のナトリウムの濃度に対応しての電極と標準電極を組み合わせて化学電池を作って、その起電力を測定することによってナトリウムイオン濃度を求める。
【正常値】134~144Eq/l(機種により多少異なる)
【結果・評価】ナトリウムの大半が細胞外液に存在して外液の重要イオンとして浸透圧の維持、酸、塩基のバランスに重要な役割をしている。この代謝には副腎皮質ホルモンによって調整されている。したがって、副腎皮質ホルモンの長期投与の場合はいわゆる満月様顔貌(moon face)となる副作用がでる。前述の重篤な患者の場合にNa値が変動するので電解質ナトリウムの測定が必要であり、その結果として高ナトリウム血症、低ナトリウム血症に分け治療の指標とする。この中で脱水症の場合、高張性脱水症(水の減少により血液の濃縮のためのNa値の上昇)、低張性脱水症(Na値の低下)があるので注意が必要である。