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軟口蓋機能検査

【読み】
なんこうがいきのうけんさ
【英語】
evaluation of velar mobility
【辞典・辞典種類】
歯科臨床検査事典
【詳細】
【意義・目的】軟口蓋は発音、嚥下、ブローイングなどの機能時に挙上して咽頭側壁、後壁と接触し、鼻咽腔閉鎖機能を営む。軟口蓋機能検査は鼻咽腔閉鎖運動における軟口蓋の挙上運動の程度を把握するために行われる。
【検査法】
1)口腔内より母音「ア」発音時の軟口蓋の動きを観察する方法。
2)鼻咽腔ファイバースコープによる観察。
3)筋電図による分析。
4)側面頭部X線規格写真あるいはX線映画による検査法。本法では観察の際、軟口蓋の外形線が不明瞭な場合には造影剤を使用することもある。
【結果・評価】X線による方法は安静時と機能時の軟口蓋の長さ、厚さ、位置、形態および軟口蓋‐咽頭後壁間距離を比較することにより軟口蓋の挙上運動、機能を定量的に観察できるため、最も有用な検査法である。
 軟口蓋の挙上運動は小児では鼻咽腔閉鎖が軟口蓋の上下運動によってなされるのに対し、成人では後上方への運動によってなされ、挙上程度は同一個人内においても嚥下、ブローイング、子音発音、母音発音などの機能の違いにより若干異なっている。また、軟口蓋の最も運動する部位は発音時、ブローイング時には口蓋帆挙筋が付着している中央1/3部であるのに対し、嚥下時には先端1/3部である。
 健常者と口蓋裂症例を比較すると、口蓋裂症例では健常者よりも安静時に軟口蓋が短いこと、機能時に軟口蓋の伸展・挙上が小さいこと、および軟口蓋‐咽頭後壁間距離が長いことが判明している。