乳酸
- 【読み】
- にゅうさん
- 【英語】
- lactic acid, lactate
- 【辞典・辞典種類】
- 歯科臨床検査事典
- 【詳細】
- 【意義・目的】乳酸は嫌気的解糖の終末代謝産物で、主に骨格筋や赤血球、脳、皮膚、腸管で産生され(1200~1500mmol/日)、大部分が肝や腎でTCAサイクルや糖新生系の基質として利用される。乳酸の産生と利用の不均衡を来す病態は、血中乳酸値の異常として反映される。酸素不十分な環境下では乳酸への反応が進み血中に増加する。
【適応疾患名】
上昇:循環不良(心疾患、ショック、出血、重症下痢)、大発作てんかん、貧血、白血病、重症肺合併症、過呼吸によるアルカローシス(過喚起症候群)、高血圧症、心筋梗塞、糖尿病、ビタミンB1欠乏症、シアン中毒、薬剤(エピネフリン、グルカゴン、フルクトース、ソルビトール、サリチル酸など)
低下:糖尿病V型、VII型、乳酸脱水素酵素欠損症(M型、H型)、筋ホスホグリセリン酸キナーゼ欠損症。
【正常値】4~16mg/dl(酵素法):早朝安静時の静脈血。5~20mg/dl(Barker-Summerson法)
【結果・評価】本検査値は、食事や筋運動さらに採取時のうっ血、全血サンプルの放置によっても血中濃度がきわめて変動しやすい。よって採血時被検者を安静にし、筋肉運動をさけ、駆血せずに行い、また生理的変動、日内変化も考慮されなければ病態生化学的変動の意義を明らかにすることができない点は一般の他の臨床化学検体と異なり注意を要する。