専門情報検索 お試し版

尿素

【読み】
にょうそ
【英語】
urea
【辞典・辞典種類】
歯科臨床検査事典
【詳細】
【意義】尿素は蛋白質代謝の終末産物である。すなわち、食事蛋白や組織の分解の結果生じたアミノ酸が脱アミノ化によりアンモニアを生じ、このアンモニアは肝で尿素サイクルにより尿素に合成される。尿素は主として腎糸球体から濾過され、一部が尿細管で再吸収され、残りが尿中に排泄される。したがって、尿素の定量は肝の蛋白中間代謝機能や腎機能などを知るうえの指標となる。その値は通常、尿素中の窒素量すなわち尿素窒素(血清中尿素窒素および尿中窒素)として測定される。
【適応疾患名】腎不全、肝不全。
【検査法】
 ウレアーゼ法:尿素をウレアーゼによって分解し、生成したアンモニアを測定して算出する。このアンモニアを測定するための方法として、ウレアーゼ・インドフェノール法やウレアーゼ・グルタミン酸脱水素酵素法などがある。
【正常値】
 血清尿素窒素 6~12mg/dl(女は男より10~20%低い。加齢に伴って増加傾向がある)
 尿中尿素窒素 6.5~13.0g/日<15~30g/日
【評価】
1)血清尿素窒素(BUN):腎糸球体機能が低下したり、尿路閉塞では、尿中に排泄されるはずの尿素が血中に残留し血清尿素窒素(BUN)は増加して高窒素血症が起こる。その他、手術、重症感染、火傷、消化管出血など蛋白異化の亢進や出血、脱水などによる循環血液量の減少、また大量のステロイド使用や、さらに蛋白食品の多食もBUNの増加を来す。このようにBUNの増加は腎以外の諸因子も関与することを考慮しなければならない。一方、肝障害では、尿素産生の低下のため、BUNは減少する。妊娠や蛋白摂取制限でもBUNは減少する。
2)尿中尿素窒素:体蛋白異化の亢進や蛋白食の多食などで増加し、肝障害で減少するが、腎不全の場合にはBUNとは異なり、尿中尿素窒素は減少する。