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尿蛋白免疫電気泳動検査

【読み】
にょうたんぱくめんえきでんきえいどうけんさ
【辞典・辞典種類】
歯科臨床検査事典
【詳細】
【定義】電気泳動法でも分離しにくい蛋白質に対して、それぞれの抗体を用いて寒天内で抗原抗体反応を起こすことにより拡散反応により起こった沈降線でそれぞれ蛋白質を定性する。
【意義・目的】骨髄腫やマクロブロブリン血症患者の尿中に特異な熱凝固性をもっている蛋白が多量に存在することが発見され、これはベンスジョーンズ蛋白(Bence Jones Protein)と名称され有名である。この特異蛋白は骨髄で生成される免疫グロブリンの一種であるので、尿中の蛋白成分を免疫電気泳動を用いて分画することによって種々の免疫グロブリンに区別でき、疾患のすみやかな同定が可能である。すなわち、電気泳動によってアルブミン・α1・α2・β・γグロブリンに分画され、一定時間反応させることにより、拡散された沈降線を観察する。免疫血清学の研究に重要な手段である。
【適応疾患名】前述のBence Jones蛋白の検出により骨髄腫、マクログロブリン血症その他アミロイドージス、骨肉腫、リンパ性白血病などの診断治療に用いられる。また各種蛋白の検出により糸球体性蛋白尿、尿細管障害による低分子性蛋白尿などの区別の指標として用いられる。
【検査法】電気泳動と寒天内で免疫拡散を組み合わせて寒天内で抗原抗体の拡散を起こさせ沈降線を証明する。その他に尿蛋白の検出にはキングスベリークラーク法があるが、尿蛋白の沈殿反応を応用して光電比色計を用いて蛋白濃度を知る定量法である。
【結果・評価】正常人の糸球体濾液中にも蛋白が含まれているが、近位尿細管で大部分再吸収されるために尿中にはほとんど出なくなるが、近位尿細管障害では尿中に多量に排泄され尿細管性蛋白尿がみられる。したがって、尿蛋白成分比により、アルブミンを主とする糸球体性蛋白尿また混合型の蛋白尿との区別が可能であり蛋白尿を鑑別するのに利用できる。