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尿糖

【読み】
にょうとう
【英語】
urinary sugar
【辞典・辞典種類】
歯科臨床検査事典
【詳細】
【定義】正常な尿中に移行する糖は主にブドウ糖で、まれに乳糖、五炭糖、ガラクトース、果糖などが含まれている。通常はブドウ糖を尿糖といっている。尿糖は糖質代謝の異常により、血糖値が腎の排泄閾値(140~170mg/dl)を越えた場合(高血糖性糖尿)と、血糖値の上昇はなく、腎臓での糖排泄閾値(80~340mg/分)が低下した場合(腎性糖尿)とに分けられる。また、先天性糖代謝異常による先天性の腎性糖尿がある。
【適応疾患名】持続性糖尿には、【1】一次性糖尿(インスリン分泌量の不足、組織のブドウ糖利用の低下による過血糖、いわゆる糖尿病)、【2】二次性糖尿(二次的な高血糖性糖尿で、膵炎、急性肝障害、甲状腺機能亢進症・Basedow病、下垂体機能亢進症、副腎の機能亢進症・褐色細胞腫、Cushing症候群)、および、【3】正常血糖性糖尿または腎性糖尿(血糖値に異常はなく腎尿細管の糖再吸収能の障害によって起こる。先天性には腎性糖尿、Fanconi症候群、Wilson病、ガラクトース血症などがある。また、後天性では多発性の近位尿細管障害に起因する慢性カドミウム中毒、イタイイタイ病などがある)。以上の3型に分けられる。
【検査法】一般にブドウ糖尿の検査は試験紙法で十分であるが、他に試験管法、アンプル法、錠剤法、ガラス板凝集法などの定性・半定量法も行われている。
1)定性・半定量法
【1】試験管法。
【2】Almen-Nylander法(還元法、感度50mg/dl)
【3】Benedict法(還元法、感度100mg/dl)。
2)試験紙法、アンプル法、錠剤法
【1】クリニテスト(R)(Benedict還元法、錠剤法)。
【2】シノテスト1号(R)(Benedict還元法、アンプル法)。
【3】ガラテスト(R)(Nylander還元法、試験管法)。
【4】テステープ(R)(酵素法、試験紙法)。
【5】クリニスチックス(R)(酸素法、試験紙法)。
3)定量法:Somogyi法(カラメル反応)、O‐トルイジン法、ヘキソキナーゼ‐G‐6‐PD法などがある。
【正常値】2~20mg/dl、1日40~85mg。正常尿でも、20mg/dl前後のブドウ糖が含まれることもあるが、測定感度以下で、試験紙法などでは陰性。
【評価】検査は新鮮尿で、温度15~37度が最適。ある種の薬剤や抗生物質などで疑陽性反応を呈することがある。ビタミンCなどの還元物質の大量服用により反応が抑制される。検査前に服用している各種薬剤を確認しておくことが肝要。また、ブドウ糖以外の尿糖の鑑別にはペーパーあるいは薄層クロマトグラフィー法が行われる。