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尿の外観

【読み】
にょうのがいかん
【英語】
macroscopic appearance of the urin
【辞典・辞典種類】
歯科臨床検査事典
【詳細】
【意義・目的】尿に含まれるものは蛋白代謝の終末産物であり、その他諸種塩類、ビタミン、ホルモン、酵素などである。蛋白質、糖、アセトン体、血色素、胆汁色素などの異常物質の出現により、腎臓、尿路の疾患のみならず心臓、肝臓、その他諸器官の機能を知り得る。そのために尿検査は諸種疾患の診断に役立っている。尿の概観とは、色調、混濁の有無、臭を意味している。
【検査法】尿検は採取直後の新鮮なものについて行うことを原則とする。採取時期は食後2時間以上を経て、過激な運動をしなかったときであれば何時でもよいが、一般に最も濃縮されている早期起床直後のものがよい。
【結果・評価】
1)色調と疾患:通常尿の色は麦わら色から淡黄褐色で、この色調は主にウロクロームに関係している。ウロクロームは腎においてのみ算出されるから、尿量が少ないのに尿色が淡調なときは、腎機能不全が推察される。
2)混濁と疾患:正常尿は澄明であるが、アルカリ性の場合、放尿直後からリン酸塩または炭酸塩のため混濁していることが多い。酸性の場合、放尿直後から混濁しているものは、血球、上皮細胞、粘液、脂肪、細菌などによるもので病的と考えてよい。
3)臭いと疾患:正常尿は不愉快でない特有の臭気(揮発性の脂肪酸による)である。アンモニア臭は細菌の作用によるもので、空中に長時間放置すると細菌の作用で尿素が分解しアンモニアを生じる。重症糖尿病患者の尿は果実用の特有の臭気(アセトン、アセトン酢酸の存在による)がする。著しい悪臭は膿尿、血尿の腐敗分解したものによる。その他、飲食物、薬物などによる特異な臭気もある。
【検査法】【1】徐々に加熱:尿酸塩の混濁は透明となる。【2】酢酸数滴を滴下:炭酸塩はガスを作って透明となる。リン酸塩はガスを作らずに透明となる。【3】2%塩酸数滴を滴下:シュウ酸カルシウムは透明となる。【4】10%水酸化カリウムを滴下:尿酸の混濁は透明となる。濃汁であれば膠状となる。
 尿の混濁や臭気は、尿路感染症の有無を知るうえで必要である。尿路感染があれば細菌により尿中成分が分解され、分解産物による臭気があったり、膀胱、腎臓の局所の炎症から好中球の浸潤、炎症性滲出物の混入により、尿が混濁し膿尿となる。