尿の比重
- 【読み】
- にょうのひじゅう
- 【英語】
- urine specific grabity
- 【辞典・辞典種類】
- 歯科臨床検査事典
- 【詳細】
- 【意義】尿の希釈、濃縮力の評価となる。そのためには溶質の濃度に比例する尿浸透圧の測定が望ましい。一般的には浸透圧、比重、屈折率がよく相関するので、尿比重の測定で代用されている。
【適応疾患名】腎実質障害、尿崩症などにより低比重を、糖尿病、発熱、脱水、下痢などの水分喪失状態において高比重を示す。
【検査法】
1)尿比重計による測定法(浮秤法):被検尿をガラス円筒に入れ、これに尿比重計を浮かべ、静止した比重目盛りを読む。同時に温度を測定し温度補正を行う。
2)屈折計による方法:尿比重と尿屈折率がほぼ相関することから、屈折計を用いる方法が普及してきた。尿比重計では多量の尿を必要とするが、本法では1~2滴でよい。
そのほか、試験紙法(主に尿中電解質濃度により種々と変色する)、尿浸透圧を測定する方法などがある。
以上は、特に水分摂取を制限せずに尿濃縮力を検査する方法であるが、水分の制限を行って腎の尿濃縮機構の反応を検査する方法としてFishberg尿濃縮試験がある。測定の前日の昼食後より水分を制限し、夕食は乾燥食として翌朝まで絶食とする。朝8時ごろ第1尿を採取し、1時間安静の後に第2尿を摂取する。
【正常値】尿の比重は水分摂取量によって大きく変動するが、正常人では1.003~1.030程度である。24時亜間の蓄尿でも1.012~1.025程度で、変動は少ない。
正常人の尿浸透圧は50mOsm/kgH2O~1300mOsm/kgH2O。
【評価】尿比重は生理的な変動が大きいため、随時の1回尿の測定値によって、病的状態を推定するのは困難とされるが、
1)1回尿でも比重が1.025以上の場合、尿濃縮力は正常である。また、Fishberg法で、比重が1回でも1.025を越えていれば、尿濃縮力は正常と考えられる。
2)1回尿が1.036以上の高比重を示す場合では糖尿病、脱水症(下痢、嘔吐)、高熱、絶食、心不全などが考えられる。
3)1回尿が1.006以下の低比重を示す場合では水分の過剰摂取、腎不全、高カルシウム血症、骨髄腫、重金属・ビタミンD中毒などが考えられる。
4)腎機能が低下し濃縮力が低下すると比重が1.010前後に固定される。これを等張尿という。
尿浸透圧が200mOsm/kgH2O以下は希釈尿といい、850mOsm/kgH2O以上は濃縮尿という。