尿のpH
- 【読み】
- にょうのぺーはー
- 【英語】
- urinary pH
- 【辞典・辞典種類】
- 歯科臨床検査事典
- 【詳細】
- 【意義・目的】正常の尿はpH6前後の弱酸性であるが食事の内容によりpH4.5~8まで大きく変動する。また、熱性疾患、激しい運動、発汗、体内蛋白の分解、アシドーシスによりpHは低下し酸性度が高くなる。代謝性、呼吸性アルカローシスでは中性ないしアルカリ性となる。尿路感染症などでアルカリ性を呈する。
【適応疾患名】尿のpHが異常値を示す疾患は多岐にわたるが、特に腎疾患、酸塩基平衡異常、代謝異常のスクリーニングに有用である。
酸性尿:代謝性疾患(フェニルケトンアルカプトン尿症)、尿路感染症(結核菌)。
アルカリ性尿:低カリウム状態(ファンコニイ症候群、アルドステロン症)、尿路感染(変形菌、緑膿菌)。
【検査法】各種の方法があるが一般的にはpH測定用の試験紙法でよい。ブロムチモールブルーとメチルレッドを含んだ試験紙を尿中に一定時間(30~60秒)浸して、測定表の色調と比較する方法である。ほかにpHメーター、分析器を用いる方法もある。
被検尿は新鮮で、分解しないように保持する。一般に酸度の高い尿は色調が濃く、低い尿は淡い。尿中に膿汁や血液が多量に混じるとアルカリ性となり、細菌尿ではアルカリ性となる。
【正常値】尿のpHは生理的に大きく変動するが、おおむねpHは6前後で弱酸性である。
【評価】
1)尿のpHが低下する場合(酸性に傾くとき)。
【1】酸性食品の摂取:肉類など。
【2】代謝性アシドーシス:糖尿病飢餓、乳酸蓄積などによる酸の産生の増加、または、尿毒症などによる酸の排泄能の低下によって起こる。
【3】呼吸性アソドーシス:肺換気の低下により炭酸が体内に蓄積するために起こる。
2)尿のpHが上昇する場合(アルカリ性に傾くとき)。
【1】アルカリ性食品の摂取:野菜、果実など。
【2】代謝性アルカローシス:大量の嘔吐などにより、H+を喪失した場合に起こる。
【3】呼吸性アルカローシス:過換気により炭酸ガスの排泄が促進され、炭酸が減少するために起こる。
【4】尿路感染症:細菌が尿中の尿素を分解してアンモニアを産生するためである。