尿量
- 【読み】
- にょうりょう
- 【英語】
- urine volume
- 【辞典・辞典種類】
- 歯科臨床検査事典
- 【詳細】
- 【意義】 尿量の変動は、水分摂取量の他に腎の濃縮力、腎から排泄される溶質の量、血中抗利尿ホルモンの濃度による。正常成人の1日の尿量は1000~1500mlで、2000ml以上を多尿、500ml以下を乏尿または無尿という。また、排尿回数の増加(10回以上を頻尿という)は必ずしも尿量の増加を示すものではなく、頻尿の原因は多尿の場合と同一ではない。
【適応疾患名】 糸球体濾過率や尿細管水再吸収率、血中抗利尿ホルモンなどを知る。
尿量に異常を来す患者
多尿:多飲症(口渇中枢の器質障害)、水再吸収障害(尿崩症、腎性尿崩症)、浸透圧利尿(糖尿病、慢性腎疾患)。
乏尿:腎前性(循環障害)、腎性(腎実質障害)、腎後性(尿路閉塞性障害)。
【検査法】 一般に、早朝第1尿は完全に排尿させたのち、第2尿から翌朝の第1尿までを蓄尿瓶に採尿する。トルオールまたはキシロールなどの防腐剤を入れ、蓄尿中は冷暗所に保管しながら尿量を測定する。
【正常値】 正常健康成人の1日の尿量は1000ml~1500mlである。小児では1~6歳で成人の約1/4、6~12歳で成人の約1/2である。
【評価】
1) 多尿を来す場合(1日2000ml以上):尿崩症、糖尿病のほか、萎縮腎、脊髄癆、脳腫瘍などの場合に持続的な多尿を来す。また、水分を多量に摂取したとき、あるいは全身浮腫が消失するときには、一過性に尿量が増加する。
2)乏尿を来す場合(1日500ml以下):心疾患により全身に浮腫の存在するとき、腹膜炎、胸膜炎により体腔内に滲出液の貯留するときは尿量は減少する。また、多量の発汗、嘔吐、下痢などによって水分を喪失したときにも乏尿を来す。そのほか、脳下垂体や間脳の病変、自律神経異常などの場合にも尿量が減少する(腎前性)。
また、急性腎炎、ネフローゼ症候群などの重篤な腎疾患(腎性)、尿路結石などの尿路疾患(腎後性)の場合には著しく尿量が減少し、無尿を来す場合もある。