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パパニコロウ染色法

【読み】
ぱぱにころうせんしょくほう
【英語】
Papanicolaou stain
【辞典・辞典種類】
歯科臨床検査事典
【詳細】
【意義・目的】 核の微細構造や角化の表現が明瞭で、Azur顆粒やAuer小体、顆粒球の顆粒など細胞質が色分別でき、標本の透過性に優れているため、重層した細胞でも、その形態を十分観察できるという特徴を持つ細胞診断、癌診断のための細胞塗抹標本染色法である。
【適応】
 1) 腫瘍または腫瘍を疑わしめる細胞の鑑別。
 2) 異形成を有する細胞や扁平上皮化生細胞など追跡検査をする必要のある細胞の鑑別。
 3) 原虫、虫卵、真菌、結晶体、石綿体など細胞以外の病的成分の検出など。
【検査法】
 1) 固定(湿固定):標本が乾燥すると染色性が変化し、核の微細構造が失われ悪性度の有無や組織型の決定が困難になるため、塗抹後直ちに固定を行う。エーテルアルコール以外にも95%エタノール、100%メタノール、coating固定剤を用いてもよい。
 2)、3) 親水:固定液から出し、乾燥しないうちに80%→70%→50%とアルコール度を下げ、5分間水洗後に蒸留水バットに入れる。
 4) 核染色:ハリス・ヘマトキシリン液あるいはギル・ヘマトキシリン液で2~6分間染色する。
 5)、6)、7) 分別:流水ですすぎ、0.25%塩酸水溶液で1~2分間静かに出し入れした後、流水で5分間塩酸を洗い落とす。
 8) 脱水:蒸留水→50%エタノール→70%→80%→95%とアルコール系列を上げて脱水する。
 9) 細胞質染色:オレンジG-6で2分間染色する。
 10) 分別:95%エタノールを3槽通加させる。
 11) 細胞質染色:ライトグリーン液、エオジン液、ビスマルクブラウン液などで作ったEA-50にて2分間染色する。
 12)分別、13)脱水、14)、15)透徹、16)封入:95%エタノールを3槽通加させ、次いで100%エタノール2~3槽、最後にキシロール4槽通加後封入する。
【結果・評価】 核の大小不同、核クロマチン、核小体、細胞質の大小、染色性などを考慮して判定する。
 染色性は核が暗紫色、細胞質は扁平上皮系細胞では基底細胞が濃青緑色、中層細胞が淡青緑色、表層細胞が淡赤色~橙黄色に、腺系細胞は淡青緑色に、核小体は暗赤色~暗青紫色に染まる。またPapanicolau分類ではI~Vで、I・IIは非癌、IIIは疑い、IVは上皮内癌、Vは浸潤癌を表す。