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PAS染色

【読み】
ぴーえーえすせんしょく
【英語】
periodic acid Schiff stain(PAS stain)
【辞典・辞典種類】
歯科臨床検査事典
【詳細】
【同】パス染色、過ヨウ素酸シッフ染色
【意義・目的】組織内の多糖類、糖蛋白を選択的に染色する染色法で標本中の上皮性粘膜の検索および真菌、トリコモナス原虫などの検査に用いる。
【検査法】多糖類は過ヨウ素酸(periodic acid)で酸化されてアルデヒドを生じ、これがシッフ試薬で呈色反応を起こす検出法である。
1)固定:糖原、酸性ムコ多糖類などの多糖類は一般に水に溶けやすいので固定液としては、緩衝ホルマリン、酢酸カルシウム加ホルマリン、95%アルコールやカルノア液などで固定する。
2)PAS染色にはセロイジン包埋が好ましいが、パラフィン包埋の場合は糖原、酸性ムコ多糖類の拡散、溶出を防ぐ目的で、脱パラ後に純アルコールを2回通し、次いで無水アルコールとエーテルの等量混合液に1%の割合にセヲイジンを溶かしたものに瞬時入れ乾燥させセロイジン被膜をつくる。
3)80→70→50%とアルコール濃度を下げ、最後に蒸留水で洗う。
4)1%過ヨウ素酸水溶液で室温にて10分間酸化する。
5)流水で5分間洗い、蒸留水を通す。
6)シッフ試薬で10分間反応させる。
7)水洗せずに亜硫酸水で3分間ずつ3回洗う。
8)流水で5分間洗い、核染色などの後染色を行う。
【結果・評価】糖原は深紫赤色に、粘液は紫色に、線維素、膠原線維は桃色に、細網線維、基底膜は紫赤色に染まる。
 その他PAS染色陽性を示すものは、卵巣の濾胞液、甲状腺コロイド、血清、ラッセル小体、腎尿細管の刷毛縁および硝子円柱、前立腺の内容物、脳脊髄組織、肥胖細胞、好中球、好酸球顆粒、骨髄巨細胞、チモーゲン顆粒、ケラシン、赤痢アメーバ、カンジダ、酵母菌、分芽菌などの真菌類、炭疸菌、連鎖球菌、腸内細菌、ジフテロイド菌などの細菌である。