専門情報検索 お試し版

ヒト胎盤絨毛性ゴナドトロピン定性

【読み】
ひとたいばんじゅうもうせいごなどとろぴんていせい
【英語】
human chorionic gonadotropin
【辞典・辞典種類】
歯科臨床検査事典
【詳細】
【定義】HCGは絨毛組織より分泌される糖蛋白ホルモンで妊娠6W以降では尿中で常に検出され、黄体化ホルモン(LH)、卵胞刺激ホルモン(FSH)など他の糖蛋白ホルモンと類似している。生物作用としては黄体化ホルモン作用があり、黄体細胞膜に特異的に結合してRNA合成、蛋白合成を促進する。また副腎でのステロイド代謝作用、甲状腺刺激作用などもあるといわれている。
【意義・目的】HCGは絨毛で産出され、妊娠初期から胎盤娩出後数日間にわたり母体血中に分泌され、さらに尿中に高濃度に排泄される。これらHCGを測定することにより妊娠の診断のみならず異常妊娠(子宮外妊娠、流産、切迫流産)、絨毛性疾患、HCG分泌腫瘍など広く利用される。
【検査法】
1)生物学的方法:動物を用いてHCGの性腺直接作用を指標として測定する方法であるが、最近では用いられていない。
2)免疫学的方法:HCGと抗HCG血清を用いて血球凝集阻止反応や、放射性同位元素を用いたradio-immunoassay(RIA)などがある。
 ここでは血球凝集阻止反応についてのべる。遠心した尿0.1mlを試薬(抗HCG血清・抗HCG感作血球の凍結乾燥)に注入する。次いで再懸濁用精製水0.4mlを注入し、約1分間振盪したのち2時間後に判定する。
 陽性 アンプル底に鮮明な褐色環。
 陰性 一様に広がった線状の淡褐色沈殿。
【結果・評価】
1)妊娠反応:妊娠6週間以降から増加し12週から16週まで最高となり、その後やや減少し分娩後は数日で陰性、妊娠陽性率は7週以降は100%である。
2)異常妊娠:子宮外妊娠、流産のときなどHCGの異常推移で補助診断に用いる。胞状奇胎のときは高濃度に現われる。HCG産生腫瘍のときHCGを分泌する場合がある。したがって異常値の場合これら疾患、また治療後の予後の判断にも用いられる。