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病歴

【読み】
びょうれき
【英語】
medical record
【辞典・辞典種類】
歯科臨床検査事典
【詳細】
【定義】患者の主訴、既往歴、現病歴ならびに治療経過などについて、総括的な疾患に関与する記録を病歴という。この病歴は、病人を診察する際には、不可欠でもあり診療を行う者には義務でもある。
【目的】患者が受診したとき、疾病の診断を正確に行うことは、適正な疾病の治療に対して不可欠な条件である。その診断に際して、病歴は重要な基本的資料であり、また疾病の記録をとることは医療行為の最初である。
 病歴は、そのほとんどが問診が主体となることが多く、患者の病状によっては十分に聴取できないこともあるし、患者の記憶が不十分なこともある。さらに、その表現によっても大きく異なることもあるので、患者との会話の中から取捨選択し、正確に、的確に順序よく遺漏なく、整理して記載することが重要である。また、幼・小児あるいは精神障害者などは必要な病歴聴取ができないときもあるので、保護者などより間接的問診もなされなければならない。
【一般的記載事項】患者が受診し、患者の訴えもしくは悩みとなる主訴より始まり、その疾患に関連もしくは発病の誘因ともなる先天性素因を主とした家族歴、また、後天的素因を主とした既往歴、次いで主訴とした疾患について、受診した今日までの経過となる現病歴、さらに、主訴とした疾患に関して現在の症状を問診、視診、触診をもって全身的所見、局所的所見などの現病について、要領よく、順序よく病歴に記載するようにする。この際、局所的所見については、歯科の専門的診査として、より詳細に観察記録をするために口腔外所見と口腔内所見とに分けて記載されることが望ましい。これら一連の記録がなされ、すべてを総括して診断ということになり、病歴に診断名として記録する。以上の記録を病歴に記載することは疾患の的確なる診断および治療方針の重要な指針となる。
 診断後にはその疾患の治療方法、さらにその経過を経日的に、必要に応じては経時的に記載をしておかねばならない。その間、診療時に必要に応じて施行されたX線写真、諸検査および検査結果は各実施された段階で病歴に貼布するか、確実に整理して保存されることが必要である。