フィブリノーゲン
- 【読み】
- ふぃぶりのーげん
- 【英語】
- fibrinogen
- 【辞典・辞典種類】
- 歯科臨床検査事典
- 【詳細】
- 【意義・目的】血液凝固第I因子にあたる。主として肝臓で産生される蛋白質であり、血液凝固に関与し、肝機能も反映する。また炎症時に急性期反応物質として増加する。
【適応疾患名】肝障害、肝機能不全、悪性腫瘍、急性感染症、脳血管障害、血液凝固障害など。
【検査法】トロンビンの作用により形成されたフィブリン塊を定量する方法(チロシン法、フィブリン塊秤量法)。蛋白質の物理化学的性質を応用する方法(塩析比濁法)。血漿にトロンビン液を加え、その凝固時間を測定する方法(トロンビン時間法)。免疫学的方法を利用したもの(一元免疫拡散法、オクタロニー法、電気泳動法)などの各種がある。
・チロシン法
1)シュウ酸加血漿に0.1M CaCl2を加え凝塊を作る。
2)10%NaOHを加え沸騰水溶中で10分間加熱する。
3)溶解後にFolinのフェノール試薬を加えて発色させ、チロシン含有量を560nmにて測定する。
4)あらかじめ作成したチロシン標準液による検量線からチロシン量を求め、ビプリノーゲン量に換算する。
・トロンビン時間法
1)標準血漿希釈系列0.1mlに一定濃度のトロンビン溶液0.1mlを加え凝固時間を測定し、その標準曲線を作成する。
2)標準血漿のかわりに被検血漿を用い、同様に凝固時間を測定し、標準曲線よりフィブリノーゲン量を求める。
・一元免疫拡散法
1)抗フィブリノーゲン血清を含有した寒天平板に濃度の異なる3種類以上のフィブリノーゲン含有の標準血漿を入れる。
2)それぞれの沈降輪の直径を測定し、その2乗をとって標準曲線を作成する。
3)同様の操作により被検血漿の沈降輪を測定し、その2乗値より標準曲線を用いてフィブリノーゲン量を求める。
【正常値】200~400mg/dl
【結果・評価】性差はない。妊娠末期に上昇を示す。運動後や加齢により増加する傾向がある。
高値を示す疾患:脳血管障害、心筋梗塞、悪性腫瘍、感染症、ネフローゼなど。
低値を示す疾患:重症肝障害、先天性無フィブリノーゲン血症、先天性フィブリノーゲン減少症、播種性血管凝固症(DIC)、線溶亢進、大量出血など。