フィラデルフィア染色体
- 【読み】
- ふぃらでるふぃあせんしょくたい
- 【英語】
- Philadelphia chromosome, PHh1
- 【辞典・辞典種類】
- 歯科臨床検査事典
- 【詳細】
- 【定義】慢性骨髄性白血病に特異的なマーカー染色体で、9番目の染色体の長腕と22番目の染色体の長腕の相互転座により生じた22番染色体の長腕部分欠損(22q-)をみる染色体である。
【意義・目的】Ph1は慢性骨髄性白血病患者の大多数例に検出される共通異常染色体であり、慢性骨髄性白血病の診断に有用である。
【検査法・骨髄直接法】ここでは検査法の原理を説明し、具体的な方法については他の成書を参照されたい。Ph1検出のための標本作成材料としては、通常骨髄穿刺により採取した骨髄細胞を用いる。骨髄細胞には染色体分析に必要な分裂期中期の細胞が十分に含まれており、また、骨髄中の細胞は特別な処理をしなくてもすでにばらばらになっているため、採取後、直ちに標本にすることができる。すなわち、採取した骨髄細胞にコルヒチンを加えて分裂細胞を分裂中期で停止させるため1~2時間作用させる。次いで、スライドガラス上に載せ核膜を破壊して染色体がばらばらになるように処理し、乾燥後、染色して検鏡する。
なお、末梢血中に水区細胞が出現している例では末梢白血球を材料として用いてもよい。この場合は末梢白血球にPHAを加えて2日間培養し、リンパ球を分裂させ、その中期のものを染色して染色体を観察する。
【染色標本の観察法】標本は10倍の対物レンズと10倍の接眼レンズにより100倍で観察し、染色体が一様に散らばっている分裂中期の細胞を選ぶ。次いで対物レンズを100倍に変え油浸下に1000倍で染色体の数および形態を観察し、同倍率では顕微鏡写真撮影を行い、印画紙に引伸して核型分析を行う。
【結果・評価】Ph1は22番染色体の対一方が長腕部分欠失のため微小となった染色体としてみられ、慢性骨髄性白血病患者の薬95%がPh1染色体陽性を示すといわれている。
なお、近年他の型の白血病や悪性腫瘍においても染色体異常の存在が明らかにされつつある。