負荷心電図
- 【読み】
- ふかしんでんず
- 【英語】
- exercise electrocardiography
- 【辞典・辞典種類】
- 歯科臨床検査事典
- 【詳細】
- 【定義】 心臓に一定の負担をかけることにより、安静時には発見できないような潜在性の心電図異常を誘発させ、記録させた心電図をいう。
【目的・意義】 潜在性の虚血性心疾患の有無や循環器系の機能的能力がわかる。
【試験法の種類】 加える負荷の種類により運動負荷試験(マスター2段階試験、トレッドミル試験、自転車エルゴメーター試験)、低酸素負荷試験、薬剤負荷試験などがある。
【運動負荷試験法】 一般にはマスター2段階(昇降)試験(Master’s two step test)がよく実施されているが、負荷量の客観性、定量性に問題があるため、最近ではトレッドミルや自転車エルゴメーターを用いた方法も行われている。
マスター2段階試験は、高さ9インチ(23cm)の段階2段を性、年齢、体重から規定された回数だけsingle testでは1分30秒間、double testでは3分間かけて昇降させ、その直後から心電図変化の消失するまでの間心電図を記録する方法である。
トレッドミル試験にはいくつかのプロトコールが提唱されているが、最も有名なのはBruceの方法である。この方法は4段階から構成されており、第1段階は傾斜10%、1.7マイル/時、第2段階は傾斜12%、2.5マイル/時、第3段階は傾斜14%、3.4マイル/時、第4段階は傾斜16%、4.2マイル/時とし、各段階3分間ずつ続けるというものである。
自転車エルゴメーター試験のプロトコールにも各種のものがあるが、通常、25~50Wから始めて3分ごとに25~50Wずつ増加させる方法が用いられている。
【誘導法】 一般には双極標準誘導(I、II、III)、単極肢誘導(aVR、aVL、aVF)、単極胸部誘導(V1-6)の12誘導を用いるが、他の双極胸部誘導、たとえばCM-5(V5の位置-胸骨柄)、CS-5(V5の位置-右鎖骨窩)をモニターすることもある。
【適応】 通常、安静時心電図が正常である患者に行う。
【禁忌】 安静時心電図に異常のある患者、器質的心疾患を示す確実な臨床症状を呈する患者、急性心筋梗塞の疑われる患者には実施してはいけない。
【判定】 ST低下、T波の平低下または逆転。陰性T波の陽性化、不整脈の出現、狭心症発作の出現などがみられた場合を陽性と判定する。