副甲状腺ホルモン
- 【読み】
- ふくこうじょうせんほるもん
- 【英語】
- parathyroid hormone, PTH
- 【辞典・辞典種類】
- 歯科臨床検査事典
- 【詳細】
- 【同】パラソルモン、上皮小体ホルモン
【意義・目的】副甲状腺機能検査の1つである。副甲状腺ホルモンは、生体のカルシウムとリンの恒常性の維持に重要な役割を果たしている。骨吸収を促進しカルシウムとリンを血中に放出させ、腎の尿細管に作用してカルシウムの再吸収を促進し、リンの再吸収を抑制する。また腎での1、25‐(OH)2ビタミンD3生成を促進し、この活性型ビタミンDは腸管でのカルシウム吸収を促進する。これらの作用の総和として、副甲状腺ホルモンは血中カルシウム濃度を上昇させ、リン濃度を低下させる作用がある。また血中カルシウム濃度の低下は副甲状腺ホルモン分泌を増加させ、血中カルシウム濃度の上昇は副甲状腺ホルモン分泌を低下させる。すなわちネガティブフィードバックの機構により血中カルシウム濃度と副甲状腺ホルモン濃度の間には負の相関がある。
【結果・評価】血中副甲状腺ホルモン濃度は、原発性副甲状腺機能亢進症(副甲状腺腺腫、副甲状腺過形成、異所性副甲状腺ホルモン産生腫瘍など)、続発性副甲状腺機能亢進症(慢性腎不全、ビタミンD欠乏症など)で上昇する。特発性および術後性副甲状腺機能低下症では低下する。悪性腫瘍による高カルシウム血症では、低下を示すことが多い。副甲状腺ホルモンはカルシウム代謝に大きくかわっているので、その測定値の評価には血清カルシウムを考慮に入れることが必要である。