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副腎皮質機能検査

【読み】
ふくじんひしつきのうけんさ
【英語】
adrenocortical function test
【辞典・辞典種類】
歯科臨床検査事典
【詳細】
【目的】副腎皮質は3層からなり、分泌される主要なステロイドホルモンは、外層の鉱質コルチコイド、中層の糖質コルチコイド、内層の副腎アンドロゲインを主として合成・分泌し、いずれも多少のadreno-cortico-tropic-hormone(ACTH)による調節を受けている。副腎皮質機能検査は、各検査法の分泌調節機構を利用するものであり、組み合わせにより障害部位や程度を推定することができる。
【検査法】
1)糖質コルチコイド、アンドロゲンおよびそれらの代謝産物の測定:血清11‐hydroxycorticosteroid(OHCS)、血清コルチゾール、血中dehydroe-piandrosteron(DHA)‐サルフェイト、尿中17‐OHCS、尿中17‐ketosteroid(KS)、尿中17-KS分画などがある。
2)下垂体‐副腎皮質系機能検査:ACTHによる副腎皮質刺激検査:血中ACTH、ACTH分泌刺激試験(メトピロン試験、リジン‐バゾプレシン試験、インスリン負荷試験、その他の負荷試験)、ACTH分泌抑制試験などがある。
3)鉱質コルチコイド、レニン活性測定およびそれらの負荷試験:血漿アルドステロン、尿中アルドステロン、血漿レニン活性、アルドステロン分泌刺激試験(食塩制限試験、フロセマイド立位負荷試験、アンギオテンシン負荷試験)、アルドステロン分泌抑制試験などがある。
【評価】副腎皮質機能低下症は、一般に血中コルチゾール、尿中17‐OHCS、17‐KSの低下がみられるが、原発性アジソン病ではACTH刺激試験による血中コルチゾールや尿中17‐OHCSの増加反応がみられない。また、アジソン病では血中ACTHが上昇し、デキサメサゾンによる抑制がみられるが、続発性アジソン病では血中ACTHが低下し、分泌刺激に低(または無)反応である。視床下部‐下垂体疾患による機能低下では、ACTH連続刺激によって遅延反応が見られることが多い。
 副腎皮質機能亢進症でのコルチゾール分泌過剰によるクッシング症候群は、少量のデキサメサゾン抑制試験に無反応であるが、大量投与により抑制がみられればクッシング病、みられなければ副腎腫瘍や異所性ACTH症候群が疑われる。また、クッシング病では血中ACTHは正常上限または上昇し、ACTH分泌刺激試験に反応するが、副腎腫瘍による場合はACTHの分泌抑制があり、血中ACTHは低下し、各種のACTH分泌試験に反応しない。腫瘍のうち癌腫ではアンドロゲン分泌増加が著明で、血中DHA‐サルフェイトの増加、尿中17‐KSの上昇がみられるが、腺腫ではこれらはむしろ低下する。その他アンドロゲン、アルドステロンなど検査は必要に応じてなされる。