ブローイング検査
- 【読み】
- ぶろーいんぐけんさ
- 【英語】
- blowing test
- 【辞典・辞典種類】
- 歯科臨床検査事典
- 【詳細】
- 【同】吹き出し時の気流・気圧測定法
【意義・目的】ブローイング検査はblowing(吹き出し)時の鼻咽腔閉鎖機能を定量的に評価することを目的とした気流・気圧測定法の1つである。ソフトブローイング検査(そっと吹く、soft blowing)とハードブローイング検査(強く吹く、hard blowing)とがあり、ともに開鼻声の判定と関連が深いが、ソフトブローイング検査のほうが構音時の鼻咽腔閉鎖機能に近いとされている。これらの検査は日常臨床において比較的簡単に行うことができ、低年齢児から検査可能であるという利点を有するが、blowing時と発音時の鼻咽腔閉鎖運動は必ずしも一致しないことがある。したがって、blowing時鼻咽腔閉鎖良好と判定された症例の中にも発音時鼻咽腔閉鎖不良例が含まれることを念頭に入れておけば、臨床的に鼻咽腔閉鎖機能を評価する簡便な方法であり、有用である。
【適応】口蓋裂患者などにおける鼻咽腔閉鎖機能不全の診断に適する。年齢的にはストロー吹きで呼気の鼻漏出をみる場合は、2歳頃から、泡立て持続時間をみる場合は3歳頃から可能である。また、巻笛による検査は2歳頃から、肺活量計による検査は5~6歳頃から可能である。
【検査法】
1)ソフトブローイング検査:軽量カップ(直径7cm)に水100mlを入れ、市販のストロー(直径4mm)で深呼吸後に途中で息つぎをせずに呼気を静かにできるだけ長く持続的に吹き出させる。鼻孔閉鎖時と鼻孔開放時の泡立て持続時間を3回測定し、鼻孔閉鎖時の最長泡立て持続時間に対する鼻孔開放時の最長泡立て持続時間の比(blowing ratio)を算出する。同時に鼻孔の下に鼻息鏡(ステンレス板)をあて、そのくもりの大きさと濃さを記録する。また鼻孔開放時の最長泡立て持続時間をsoft blowing時間とすることもある。
2)ハードブローイング検査:深呼吸後肺活量計をできるだけ強く吹かせ、鼻孔開放時と閉鎖時の呼気量を3回測定し、両者の最大値の比(肺活量比)を算出する。幼児では深呼吸後にできるだけ強く巻笛を吹かせ、その伸びを記録する。同時に鼻孔の下に鼻息鏡(ステンレス板)をあて、そのくもりの大きさと濃さを記録する。また巻笛が吹けない幼児の場合には玩具のラッパや笛を用い、鼻息鏡(ステンレス板)のくもりの大きさと濃さを記録する。
【結果・評価】blowing ratioは1.0以上を鼻咽腔閉鎖良好、0.7以上を鼻咽腔閉鎖ほぼ良好または軽度不全、0.7未満を鼻咽腔閉鎖不良とすることが多い。また鼻息鏡のくもりの大きさと濃さは、鼻漏出なし(-)、少しあり(±)、あり(+)の3段階で評価する。巻笛の伸びの程度は完全(+)、不完全(±)、伸びない(-)の3段階で評価する。
実際臨床で鼻咽腔閉鎖機能を評価する場合には聴覚印象による開鼻声の程度および鼻漏出による子音の歪みの程度とを合わせて総合的に判定することが多い。