糞便検査
- 【読み】
- ふんべんけんさ
- 【英語】
- examination of feces
- 【辞典・辞典種類】
- 歯科臨床検査事典
- 【詳細】
- 【意義】糞便の状態は消化、吸収をはじめ、消化管内でのいろいろな変化を知るうえで重要な役割を示すものである。
【検査法および評価】
1.外状検査
1)量:健康成人は100~250g/dayで1回量の多いときは腸管上部の疾患、回数が多く1回量の少ないときは腸管下部の疾患のことが多いといわれている。
2)色調:正常便は黄褐色であり、高度の下痢では黄色ないし黄緑色、消化管出血の場合小腸より上部ならば黒色のタール便、大腸下部ならば鮮紅色を示す。
3)臭気:膵疾患、慢性腸炎の場合や直腸癌の場合は腐敗臭が著しく、脂肪便や糖質の異常発酵の場合は酸臭がある。
4)形状、硬度:腸管の蠕動亢進あるいは炎症のため水分吸収が不十分な場合、下痢便となり、腸に長く停滞時(宿便)は兎糞様便、直腸に狭窄があるときや大腸に痙攣性収縮があるときは鉛筆様便となる。
5)反応:正常な中性に近い。一般に肉食後はアルカリ性、糖質、脂肪質食後には酸性に、異常発酵のある場合は強酸性となり、腐敗現象の高度な場合は強アルカリ性となる。
6)通過時間:食事後正常では24~48時間後に、72時間で排泄が終わる。72時間以上は遅延、12時間以内は促進とする。
2.顕微鏡検査
1)虫卵、原虫:直接法、集卵法などを用いる。寄生虫疾患の疑われるときは1日のみではなく、検査を反復する。
2)細菌:下痢の原因として細菌が疑われるときには、細菌培養を行う。
直腸鏡などで大腸粘膜を観察し、同時に検体を採取する。
3.生化学検査
1)潜血反応:肉眼で確認できない小量の血液が便に混じっているのを検出する。消化管の潰瘍性などの疾患・治療上きわめて重要である。胃・十二指腸潰瘍の出血は大量でも持続せず、胃癌・大腸癌の出血は微量でも持続的のことが多い。グアヤック法で陽性ならば病的とする。その他、オルトトリジン法、フェノールフタレイン法、免役反応を利用したヘモグロビンの検出法などがなされている。
2)トルブレー反応:糞便中に腸管からの組織蛋白の混入を調べるもので、腸結核、その他潰瘍性腸疾患で陽性を示す。
その他、ビリルビンおよびウロビリン、窒素、脂肪、酵素などの検査もなされる。