平行法(口内法)
- 【読み】
- へいこうほう(こうないほう)
- 【英語】
- paralleling technique(intra-oral radiography)
- 【辞典・辞典種類】
- 歯科臨床検査事典
- 【詳細】
- 【同】平行投影法、平行法投影、ロングコーンテクニック(法)、ロングコーン平行法
【定義】歯科標準撮影法の1つで、理論的には二等分面法を応用としたもので、フィルムと歯の長軸を平行にし、できるだけX線の焦点を離し、フィルムと歯の長軸に対し主線を直角にあて歯の実長に近くなるよう撮影する方法。そのためにはできるだけ歯と焦点を離すことが必要である。
二等分面法は歯とフィルムが接触するか、あるいは接近する状態にあるが、平行法では歯とフィルムを平行に保ち、離した状態で撮影するため、X線の焦点を十分に離し、投影しなければ拡大した像が形成される。そのために焦点‐皮膚間距離を40cm程度に取れるロングコーンを使用する必要がある。したがって、この撮影法をロングコーンテクニック、あるいはロングコーン平行法という。
【適応疾患名】この投影法は上顎の大臼歯の撮影において歯根部と頬骨突起の重複がないので歯根尖の診査がしやすい。また二等分面法のように臼歯の影響において口蓋根の長さにゆがみが現われず、実際の歯の長さに近く投影される。さらに歯槽頂付近の歯槽骨の頬舌的誤差が現われないので投影が正確である。しかもフィルムの保持器を使用するので撮影がしやすいなどの利点がある。しかしながら、解剖学的に口蓋の浅い人においてはフィルムの位置設定が困難で、投影がしずらいこともある。
二等分面法と同じく、歯およびその周囲組織の検査の診査に用いられ、齲蝕、辺縁性歯周疾患、根尖病巣、埋伏歯、未萌出歯などの診査に有効である。
【検査法】口内撮影法の1つである。したがって、通常、歯科用標準サイズのフィルムを使用し、二等分面法と同様に上顎は鼻翼・耳珠線を水平にすなわち上顎はそのまま咬合平面を水平に、また下顎の撮影時には口角・耳珠線を水平に、すなわち下顎では軽く開口した状態で咬合平面を水平にして、安頭台に頭部の固定を行う。歯の長軸とフィルムを平行にし、X線の焦点をできるだけ離し投影する。
特に上顎においては歯とフィルムを平行にするため、それらの距離が大きくなる。したがって、歯と焦点を離さないと像は拡大されて描写される。
この撮影法は、焦点からコーン先端までが30cm以上のロングコーンを使う。ショトコーンで、管球ヘッド内で焦点を後方に置き、焦点‐被写体間を遠くとったRichards方式のものもある。
また口腔内でフィルムを手指で歯の長軸と平行に保持するのが困難であるため、ほとんどの場合市販のフィルム保持器を用い撮影する。