ヘモグロビン精密法
- 【読み】
- へもぐろびんせいみつほう
- 【辞典・辞典種類】
- 歯科臨床検査事典
- 【詳細】
- 【同】ヘモグロビン標準法
【意義・目的】 ヘモグロビン(Hb)の最も重要な性質は酸素に対する親和力であり、肺から組織への酸素運搬をつかさどる。ヘモグロビンの測定は貧血、多血症などの診断やその経過の観察に用いられる。
【検査法】 現在では各種測定法のなかで、シアンメトヘモグロビン法が国際標準測定法とされている。
・国際標準法
1) 標準液
【1】製法:ヒト洗浄赤血球を蒸留水で溶血し、トルエン処理し、Drabkin溶解試薬でHiCNに転化させる。
【2】濃度:約60mg/dl
【3】純度検定:450~750nmの吸収スペクトルの形。Eλmax540/Eλmin504が1.60~1.62にあること。
【4】混濁検定:E750nm<0.002
【5】濃度計算:分子量64458、ミリ分子吸光係数44.0とする。
Eλmax540×64458/44.0×10=Eλmax×146.5mg/dl
【6】分光測光:分光光度計の波長較正、透過率目盛検定。
セル1.000±0.005cm
有効波長幅λmax540、λmin504において1.0nm以下。20~25℃。
2)市販標準液:国際標準液に準ずる。
3)溶解試薬:Drabkin液、Van Kampen-Aijlstra液。
改良Van Kampen-Zijlstra液(松原)
4)測定操作:試薬5.0mlに血液0.02mlをザーリピペットで加え混和する。3分以後541nmまたはこれに相当するフィルターを用い、試薬を対照として比色分析する。セル1.0cm。検量線は市販のHiCN標準液をもって作る。540nm
【正常値】
成人男子16.0±2.0g/dl
成人女子14.0±2.0g/dl
【結果・評価】正常値は年齢、性により差がある。個人の変動は健常時では±0.5g/dl以下である。
高値を示す疾患:高地居住者、先天性疾患者、肥満などによる多血症。真性およびストレス性多血症。嘔吐、下痢、利尿剤投与などによる脱水。
低値を示す疾患:種々の原因による貧血。過剰輸血、うっ血性心不全などによる水血症。