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扁平上皮癌関連抗原

【読み】
へんぺいじょうひがんかんれんこうげん
【英語】
squamous cell cartinoma related antigen, SCC
【辞典・辞典種類】
歯科臨床検査事典
【詳細】
【意義】血中扁平上皮癌関連抗原(以下SCC抗原)は子宮頸部扁平上皮癌あるいはその肝転移組織から分離、精製した蛋白質で、分子量約45,000の組織特異性をもつ扁平上皮癌の腫瘍マーカーである。扁平上皮癌の補助的診断、予後の判定、再発の予知などに利用される。
【検査法】ビーズ固相法を用いたone step サンドイッチRIA法とポリクロナール抗体を用いたRIA法があるが、検体量が少量ですみ、インキュベート時間が短く、遠心分離がいらないなど操作性が良く、感度、再現性などの性能が優れている利点をもつ固相化抗体、およびモノクローナル抗体を標識抗体に使用するone stepサンドイッチRIA法の原理について述べる。
 被検者の血中SCC抗原、抗SCC抗原ビーズ、125I標識抗SCC抗原を反応させると、SCC抗原はビーズ上の抗SCC抗原に結合し、さらにこれに125I標識抗SCC抗原が結合して、抗SCC抗原ビース‐SCC抗原‐125I標識抗SCC抗原サンドイッチ型の結合体を形成する。反応後にビーズの放射活性を測定し、SCC抗原の量を標準曲線より求めることによりSCC抗原量を決定する。
【結果・評価】SCC抗原は正常者血中にもわずかに存在するが、正常扁平上皮組織と扁平上皮癌組織のSCC抗原産生能は明らかに相違が認められ、子宮頸部、肺、頭頸部、食道などの扁平上皮癌患者の血中に高濃度に存在するため、扁平上皮癌の診断に血中SCC抗原量の測定が利用されている。しかし、頭頸部癌および食道癌の早期においては、血中のSCC抗原の陽性率があまり高くないという欠点はあるが、現在のところ有効な腫瘍マーカーがないため、SCC抗原が新しい腫瘍マーカーとして注目されている。また、臨床症状の変動と血中SCC抗原量の変化がよく一致することから、予後の判定や再発の予知にも応用範囲が広がっている。