ミオグロビン(尿)
- 【読み】
- みおぐろびん(にょう)
- 【英語】
- myoglobin
- 【辞典・辞典種類】
- 歯科臨床検査事典
- 【詳細】
- 【同】筋色素
【意義・目的】ミオグロビンは筋組織中にヘム蛋白として存在し、エネルギー産生系として貯蔵されている。人の場合は主に骨格筋(5mg/g wet weight)、心筋(3mg/g wet weight)に存在している。したがって、筋細胞が破壊されるような疾患の場合には破壊の程度、病態を知る目的に尿中ミオグロビンを測定する。
【検査法】尿の採取には全尿または排尿を用いる。尿の保存は冷蔵保存とする。尿中のミオグロビンの定量にはまず着色によって(赤褐色~暗赤褐色)見当をつけ、さらに血色素などとの識別同定をし定量を行う。同定法には、以下の方法がある。
1)硫酸アンモニウム法 : 尿5mlに1N NaOHを加えpH7.0~7.5とし硫酸アンモニウム2.8gを加えて攪拌溶解し、遠心分離をする。上清にミオグロビン褐色を証明する。ヘモグロビンは沈澱する。
2)電気泳動法 : セルロースアセテート膜電気泳動(pH8.6)でメト型ミオグロビンはヘモグロビンに対して易動度が大きい。さらにミオグロビンは4つ(Mb1、Mb2、Mb3、Mb4)に分離する。ミオグロビンが1mg/ml以上含まれていると着色尿ではバンドとしてみることができる。
3)可視部吸収曲線 : メト型ミオグロビンは酸性溶媒(pH5.4)中では409nm、500nmおよび630nmに吸収極大を示し、580nmから610nmにかけて特徴的な吸収曲線が認められる。
【定量法】ラジオイムノアッセイ(RIA)など微量定量法が開発されつつある。RIAキットは各種あるが同位元素の使用のため検査室などの問題がある。
【正常値】健常人尿中のミオグロビン量は4ng/ml以下である。
【結果・評価】ミオグロビン尿が尿中に異常に出るときの疾患として筋細胞が急激に大量に破壊されたときであるので、筋挫滅症候群、筋の大手術、急性循環不全、多発性筋炎、心筋梗塞(発作直後より6時間から12時間位まで)、腎不全などがあるが、着色の明らかでないときには見逃すことがあるので注意する。また、薬物による着色もあるとされていてミオグロビン吸収曲線を変化させることがある。