味覚検査
- 【読み】
- みかくけんさ
- 【英語】
- regional examination of the tongue
- 【辞典・辞典種類】
- 歯科臨床検査事典
- 【詳細】
- 【意義・目的】味覚検査は耳鼻科領域で味覚中枢や味覚伝導路傷害、損傷などの確認に使用されることが多い。しかし、歯科領域においても、使用する材料、薬剤、そして義歯装着後のような治療後に味覚変化を訴える患者が比較的多く、また心理的にトラブルを生じている患者の一部にも、このような訴えをもつ者がいることから味覚検査は意義のあるものである。
【検査法】味覚の検査法は目的に応じて、各種の方法が試作されているが、その主な検査法に次のようなものがある。
1)味質溶液を使用する場合 : (1)点滴法、滴下法、(2)全口腔法、(3)濾紙法、(4)毛や糸による綿棒で舌乳頭を刺激する方法、(5)椀状構造物で味質試験紙を環流させる方法、(6)濾紙ディスク法。
2)電気味覚検査法
このうちで濾紙ディスク法は(1)~(5)の欠点を補った理想に近い検査法であり、歯科領域での微妙な味覚変化を検査するのにすぐれた方法である。
【結果・評価】この濾紙ディスク法は冨田らの考案した検査法である。これは四基本味質の正常値から考案された四基本味質の濃度系である。この結果として、この検査法は従来報告された検査法の操作上の欠点や、理論不足を補うものであり、刺激面積、濃度もほぼ一定に保つことができ、支配神経別の味覚検査も可能である。そして、この四基本味質ともに5段階として、II、III濃度で正しい味質として応答があれば正常であり、I濃度での応答は味覚過敏、IV、V濃度では味覚減退であると結論している。しかし、著者らの同じ方法による検査では、正しいとされる濃度域は、もう少し幅の広いものと考えてよいようである。
なお、味覚異常を患者が訴えた場合、この味覚検査のほかに、尿、血清中の亜鉛量を測定したほうがよい。