滅菌法
- 【読み】
- めっきんほう
- 【英語】
- sterilization
- 【辞典・辞典種類】
- 歯科臨床検査事典
- 【詳細】
- 【定義】一般的に、滅菌、殺菌、消毒という言葉はしばしば混同して用いられているが、滅菌の定義については、存在するすべての微生物をその病原性の有無に関係なく殺滅または除去することをいい、その方法を滅菌法という。
【意義】滅菌(消毒、殺菌を含めて)は微生物の蛋白質を変化せしめ、微生物を殺滅するのが目的である。消毒と殺菌は一般的な表現であり、微生物の殺滅に定量的な内容を含んでいないが、滅菌はすべての微生物という表現が述べられており、一部のみの微生物を殺滅するものでなく、量的な意味が含まれている。
【方法】
1)火焔滅菌法(灼熱滅菌) : 火焔中で加熱、燃焼させることにより微生物を殺滅する方法で、火焔の中で20秒以上加熱、燃焼させる。主にガラス製品、金属製の器具に用いる。
2)乾熱滅菌 : 160~200℃の高温度の乾燥空気にて滅菌する方法で、滅菌時間は180℃で20分間、200度Cでは10分間である。主に乾燥高熱が可能な物でガラス製品、単純な構造の手術器具に用いる。
3)高圧蒸気滅菌(オートクレーブ) : 蒸気圧、温度、作用時間の3要素を合わせて滅菌する方法で、高熱蒸気の殺菌力を利用して、菌体の蛋白凝固を起こさせ滅菌を行うことである。通常、滅菌の条件は2~3気圧(kg/cm2)、120~121℃で30分間である。主に手術用器械、器具、ガーゼ、綿花、手術着、手袋、マスク、包帯など、かなり広範囲な器具などが滅菌できるので、一般的に用いられている方法である。
4)ガス滅菌 : 本法は、ホルムアルデヒド(フォルマリン)ガスが使用されていたが、最近では酸化エチレンに炭酸ガスやフォレオンガスなど不活性ガスが使用されている。主に煮沸、蒸気、高圧に耐えられない器材、複雑な構造の手術器具、プラスチック製品、ゴム製品などに最適である。
5)照射滅菌法 : 紫外線の照射および放射線の照射を行うことによって微生物を殺滅する方法である。紫外線燈を用いる方法は、主にガラス製品、金属製、ゴム製、プラスチック製などに使用されることが多いが、放射線法は、特別な設備が必要なため一般的な方法ではない。
その他、シンメルブッシュの煮沸消毒器を用いる煮沸滅菌法もあるが厳密な意味の滅菌にはならないとされている。