専門情報検索 お試し版

免疫学的検査

【読み】
めんえきがくてきけんさ
【英語】
immunological test
【辞典・辞典種類】
歯科臨床検査事典
【詳細】
【意義】免疫とは、生体が病原体に対して感受性をもたないか、または感受性が減弱された状態にあることをいう。その免疫を成立させる原因となる刺激を抗原(免疫原)といい、体内に産生されて抗原に対抗する物質を抗体(免疫体)という。抗原となり得る物質は限られたものであって、その主なものは、細菌、毒素、菌体成分などであり、抗体としての主なものは、抗毒素、凝集素、溶血素、溶菌素、沈降素などである。一般に、病原体が生体内に侵入すると、生体側は病原体を制するか、あるいはその作用を阻止しようとする。このような生体の免疫機構については、組織細胞は抗原の作用に対抗し、食菌細胞の能力は増大し、ある種の組織細胞からは抗体が産生されるなどの働きがある。これら組織の働きを細胞性免疫とし、抗体の働きを体液性免疫として大別されている。しかしながら両者は密接な関係をもって生体の防御機構に関与している。これら免疫機能については、どの機能がどの程度、異常を示しているかを明らかにする目的で検査が行われる。
1)体液性免疫検査 : 体液性免疫は、抗原刺激に対応して形質細胞を含めたBリンパ系細胞より産生される免疫グロブリン(Ig)である。Igは血清蛋白のγグロブリンに相当しIgG、IgA、IgM、IgD、IgEの5種類がある。これはIgの産生は細胞性免疫機構に関与しているTリンパ系細胞により補助・抑制作用によって調整され、その他に補体系や血漿蛋白成分が生体防御に関与しているので、これらを含めて総合的に検査を行うべきである。
2)細胞性免疫検査 : 免疫現象は、抗体や補体を中心とする体液性の因子であると考えられていたが、最近ではリンパ球を主体とする細胞が免疫現象の本質をなすものであり、抗体なしでも抗原の排除ができる能力をもっていて、さらに抗体はリンパ球の働きによって産生を調節され、またリンパ球の支配下で免疫機能を果たす目的のための物質にすぎないことが明らかとなった。臨床的にもこれらの細胞の欠落や機能不全に基因する疾病があることが認められるとともに、いくつかの感染症や自己免疫疾患においても免疫細胞の変化が認められ、疾病の成り立ちと深い関連をもつことが明らかにされている。