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免疫グロブリン検査(根管滲出液の)

【読み】
めんえきぐろぶりんけんさ(こんかんしんしゅつえきの)
【辞典・辞典種類】
歯科臨床検査事典
【詳細】
【意義・目的】根管滲出液中に含まれる免疫グロブリンを検索し、根尖病巣の病態を悲観血的な方法で把握しようとする検査法。
 免疫グロブリンは体液性免疫の主役を演じる血清蛋白で現在ではIgG、IgA、IgM、IgD、IgEの5種類のクラスがある。各クラスによって構造や機能に違いがみられるが、その基本構造は長(H鎖)・短(L鎖)2種類の4本のポリペプチド鎖がY字型をしていると考えられている。免疫グロブリンのなかではIgGが主要な抗体であり、化膿菌などの抗原と結合して白血球やマクロファージの貪食能を高める。IgAは主に局所粘膜下に分泌される抗体で外界から微生物や異物が侵入してきたとき、それらに結合して生体内に侵入するのを阻止する。IgMは免疫反応の初期に一次応答として出現する抗体である。IgEは最も少ない免疫グロブリンで肥満細胞や好塩基球との親和性が強く、抗原がIgEに結合するとこれらの細胞が脱顆粒を起こし即時型のアレルギー反応を引き起こす。
【検査法】免疫グロブリンの代表的検査法としては次のような方法がよく知られている。
1)セルローズアセテート膜電気泳動法
2)一元放射免疫拡散法
3)免疫電気泳動法
4)ネフェロメトリー法
 根尖病巣は、根管内の抗原物質に対して生体の免疫反応が作動することにより惹起されたと考えられている。そこで、免疫学的手法を用いて根尖病巣の発症から進展までを解明しようとする試みがなされてきており、なかでも病巣内の免疫応答の動態を把握できる方法の1つに根管滲出液免疫グロブリンの検査法が利用されている。
 根尖性歯周炎の病態診断は、主として病理形態学的観点から行われており、そのために実際の臨床診断には不向きであるとも指摘されている。これに対して根管滲出液は根尖周囲組織に生じた病変部の滲出液が根管内に漏出した組織液であり、病巣内の病状を直接に反映すると考えられている。そこで従来の方法で分類された根尖性歯周炎のなかで、根管滲出液を採取できた症例についてその免疫グロブリン成分を検査したところ病巣が慢性化するにつれ免疫グロブリン(特にIgG)が増加することが明らかにされた。