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モーズレイ性格検査

【読み】
もーずれいせいかくけんさ
【英語】
Maudsley personality inventory, MPI
【辞典・辞典種類】
歯科臨床検査事典
【詳細】
【目的】イギリスのモーズレイ病院のEysenck,H.J.はJung,C.G.とKretschmer,E.の影響を受けて、神経症傾向と向性(外向性-内向性)を中核とする人格理論を組み立てた。それら2つのパーソナリティ次元を測定するために開発されたテストが、この性格検査の始まりである。
 1958年、Jensen,A.R.は、Eysenckが構成したN尺度(神経症的傾向尺度)とE尺度(外向‐内向性尺度)のそれぞれ24項目と中性項目の12項目に、MMPIをもとにした虚構尺度(L尺度)20項目を加え、合計80項目のMPIを作成した。
 日本版MPIは、Jensenの質問紙に準じ、新たに日本人を対象にして、推計学的に検討されて完成したものである。
【検査法】質問事項を読んで、自分の性質にあてはまれば「はい」、あてはまらなければ「いいえ」、どちらとも決められなければ「?」を〇印で囲むようあらかじめ教示される。中学卒業程度以上の知的能力があれば、日本版MPIの記入に要する時間は、おおよそ15~20分である。
【結果・評価】所定の半透明の採点盤を検査用紙の頁に重ね、採点盤の得点と回答の〇印が一致した項目の数を数え、「はい」と「いいえ」は2点、「?」は1点として、それぞれの尺度の合計得点を算出する。したがって、N尺度とE尺度は0~48点の間に分布することになる。
 なお、N尺度とE尺度を座標軸としたグラフを9つのカテゴリーに分けるチャートが作成されているので、各尺度の得点をグラフ上にプロットし、二次元的な位置から性格傾向を判定する。このようにして求められた神経症的傾向(N尺度)と外向性‐内向性(E尺度)の組み合わせによる性格像は、年齢や性別などの属性に影響されることなく、集団における個人を相対的に評価したものである。しかし、得点がどちらに偏したとしても、必ずしも精神病質や精神障害を意味するものではなく、あくまでも現在の状態であることを忘れてはならない。
 同じように、虚偽尺度(L尺度)の得点が高いからといって、正直な態度でないとか、虚偽の回答であると即断することは難しく、患者の自分への関心度や精神状態を反映していることも考慮にいれなければならない。