リンパ球IgG合成能検査(末梢血)
- 【読み】
- りんぱきゅうあいじーじーごうせいのうけんさ(まっしょうけつ)
- 【辞典・辞典種類】
- 歯科臨床検査事典
- 【詳細】
- 【定義】末梢血Bリンパ球の細胞質内免疫グロブリン陽性細胞を証明することによって抗体産生細胞を検出する。
【意義・目的】抗原を生体に接種し、抗体の出現を観察することで個体の抗体産生能を評価することができる。しかし、免疫原のヒトへの接種には制約があるので、in vitroでの方法が用いられる。末梢リンパ球をin vitroで抗原やマイトジェンとともに培養すると、抗体産生細胞が出現し、抗体が培養液中に分泌されてくる。抗体産生細胞は細胞質内に抗体を保有することによって同定できる。また、分泌された抗体は赤血球の溶血活性や直接定量法により検出される。
【適応疾患名】歯周疾患、とりわけ早期発症型歯周炎(前思春期性歯周炎、若年性歯周炎、重度進行性歯周炎)。
【検査法】polyclonanal B cell activator(たとえばpokeweed mitogenやStaphylococcus aureus全菌体)を含む培養液に、末梢血リンパ球を6~10日間培養する。この間にBリンパ球はTリンパ球のペルパー作用を受けて増殖し、免疫グロブリン産生細胞に分化する。培養細胞をスライドグラス上に塗抹し、FITC標識抗ヒト免疫グロブリン抗体を反応させ、蛍光顕微鏡で、細胞質内に蛍光を認める細胞の陽性率を調べる。なお、培養上清については、免疫グロブリンの定量を行う。
【結果・評価】この細胞質内の免疫グロブリン陽性細胞の検出法は、歯肉など組織内での抗体産生細胞の局在部位の検索に利用される。
抗体産生能低下は、Bリンパ球の発生障害、分化障害、抗体分泌障害に起因するが、そのほかにヘルパーTリンパ球の機能低下、サプレッサーTリンパ球機能亢進でも起こる。抗体産生能上昇は、抗体産生を調節する機構(ヘルパー/サプレッサーT回路、イディオタイプ‐抗イディオタイプネットワーク)の破綻を疑わせる。
リンパ球の抗体産生能に異常がある場合は、歯周組織は易感染性の状態にあると解釈する必要がある。