リンパ球幼若化検査
- 【読み】
- りんぱきゅうようにゃくかけんさ
- 【英語】
- lymphocyte transformation test
- 【辞典・辞典種類】
- 歯科臨床検査事典
- 【詳細】
- 【同】リンパ球芽球化試験、リンパ球刺激試験
【定義】静止状態にあるリンパ球は抗原刺激やmitogenによって、活性化し、DAN合成や蛋白合成が盛んになり、形態的には芽球化、幼若化した大型の細胞となる。この状態をin vitroで検査する方法である。
【意義・目的】mitogenにはTリンパ球、Bリンパ球、その両者を刺激するものがあるが、用いるmitogenの種類によってそれによって刺激されるべきリンパ球の一般的な反応性が低下していないかどうか知ることができる。すなわちT cell mitogenを用いることにより一般的な細胞性免疫機能を、B cell mitogenによりBリンパ球の抗体産生細胞としての一般的機能を検査する。特異抗原を用いると、その抗原によってリンパ球が前もってすでに感作されているかどうか知ることができる。
【方法】形態学的観察法、ブドウ糖消費試験法、アイソトープ取り込み法があるが、通常3H-thymidineなどのアイソトープ標識核酸前駆物質のDNAへの取り込みで測定する。T cell mitogenとしてPHA(phytohemagglutinin)、 Con A(concanavalin A)、抗CD3抗体、B cell mitogenとしてPWM(pokeweed mitogen一部はT細胞へも)、EB virus、SAC(Staphylococcus aureus Cowan I)などがある。
【結果・評価】アイソトープ法では活性がcount per minute(c.p.m.)で表現されるが、リンパ球数、培養条件、アイソトープのspecific activityなどでc.p.m.は大きく変化するので、同時にmitogenや抗原を加えないcontrolを置いて、controlに対する比率stimulation index(SI)としても表現する。
DiGeorge症候群、細胞性免疫不全ではPHAやCon AのT cell mitogenに対する反応低下が著明で、悪性腫瘍進行例、ヘルペス、カンジダなどの重症感染症、SLE、慢性関節リウマチ、Sjogren病などの自己免疫疾患でも低下傾向にある。
一方、無ガンマグロブリン血症、common variable immunodeficiencyではSACなどB cell mitogenに対して反応低下がある。エイズではT、B両者に反応低下をみることが多い。
放射線照射、副腎皮質ステロイド剤、抗癌剤などの使用中は免疫抑制作用があることから、リンパ球幼若化反応も低下していることが多い。