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レニン活性

【読み】
れにんかっせい
【英語】
plasma renin activity, PRA
【辞典・辞典種類】
歯科臨床検査事典
【詳細】
【定義】レニンは腎の旁糸急体細胞より分泌されレニン基質をアンギオテンシンI(AI)に変える酵素学的な働きがある。この単位時間中に新しく産生できるAI量をレニン活性(PRA)と定義している。
【意義・目的】上記AIは肺のアンギオテンシン変換酵素によりアンギオテンシンII(AII)となる。AIIは強力な血管収縮作用を有するとともにアルドステロンの分泌を高め血圧を上昇させる。このようにレニン、アンギオテンシン、アルドステロンは1つの系として密接な関係をもって、血圧、体液、電解質バランスの調節にあずかっている。したがって腎疾患、高血圧、浮腫、鉱質コルチコイド分泌異常、自律神経異常などに際し、レニン活性を測定することは、これらの病態究明ならびに診断決定に重要な意義をもつものである。
【検査法】血漿にアンギオテンシン変換酵素と同変換酵素阻害物質を加え、pH5.5(または7.4)37℃で一定時間インキュベートし、新しく生成されるAI量をラジオイムノアッセイにより測定し、その単位時間の生成量を計算する。採血ならびに資料調整にあたっては細心の注意が必要で、氷冷試験管に採血し、ただちに遠心分離し凍結する。抗凝固剤にはEDTA-2Naを用い、ヘパリンは使用しない。PRAは体位、食塩、糖質コルチコイドなどで変動するため、これらの条件も考慮しなければならない。
【正常値】採血条件、測定手技などにより統一的な正常値はないが、ダイナボット社のRIAキットの場合、臥位(1時間以上)で0.3~3.0ng/ml/hr.、立位(2~4時間)で0.5~5.0ng/ml/hr.で、ともに常食下の値である。参考としてTravenol社キットでの1.62±0.44ng/ml/hr.(早期安静臥位)をあげておく。
【結果・評価】PRAが高値を示すものには悪性高血圧、腎血管性高血圧、レニン分泌性腎腫瘍、うっ血性心不全、ネフローゼ症候群、肝硬変、Bartter症候群、妊娠中毒症などがあり、低値を示すものには原発性アルドステロン症、特発性アルドステロン症、ACTH依存性アルドステロン症、17α‐ハイドロキシラーゼ欠損症、DOC産生腫瘍などがある。しかし一般にレニン分泌が増加すればAIIとアルドステロンの産生が増加し、レニン分泌が減少すればAIIとアルドステロンも減少する。したがってPRAの変動があるとき血漿アルドステロン濃度の変動をみれば臨床診断に大いに役立つ。