頭部前方位姿勢
- 【読み】
- とうぶぜんぽういしせい
- 【英語】
- forward head posture
- 【書籍】
- TMDを知る 改訂第2版
- 【ページ】
- 70
キーワード解説
前屈みで顎を突き出したような姿勢で、胸鎖乳突筋が床に対して垂直に近くなっている状態をいう。いわゆる猫背である。咀嚼筋や頸部の筋活動を亢進させ、こりや痛みを引き起こす。また、後頭部から上背部の筋を緊張させて緊張型頭痛の原因にもなるため、TMDでは重要視されている代表的な悪習癖である。この姿勢はパソコンを使ったり、運転をするときなどに起こりやすいため、TMDや緊張型頭痛を「生活習慣病」だという専門医もいる。
1) 頭部前方位姿勢をとって頭が脊柱より前方に出ると、頭部の重みで頭が下がり自ずと床を見るかたちになる。2) この状態で前方を見るためには、後頸部・背部の筋で重い頭部を吊り上げて頭蓋を水平にバランスする必要がある。3) このため、頭部前方位姿勢を長時間続けると、これらの筋が疲労して後頸部・背部に筋痛が生じ、肩こり・緊張型頭痛・顎の痛みやだるさとして感じられる。患者にこの説明をして実際にやらせてみると、前屈みの状態からゆっくり頭蓋を吊り上げるときに、後頸部と背部に負担がかかることがよく実感できるため、習癖反転に効果的である。