特発性口腔顔面痛
- 【読み】
- とくはつせいこうくうがんめんつう
- 【英語】
- idiopathic orofacial pain
- 【書籍】
- そのまま使える病院歯科・口腔外科への紹介状の書き方
- 【ページ】
- 58
キーワード解説
原因不明の口腔顔面痛。2020年に発表された「国際口腔顔面痛分類第1版(ICOP-1)」では、特発性口腔顔面痛には「口腔灼熱痛症候群(BMS)」「持続性特発性顔面痛(PIFP)」「持続性特発性歯痛(PIDAP)」の3つがある。それぞれ3か月を超えて、毎日、1日2時間以上持続する「口腔粘膜の表層の灼熱痛」「顔面痛」「歯と歯槽部の痛み」と定義されている。
痛みの機序としては、従来は神経障害性疼痛であろうと考えられていたが、2017年に世界の痛み研究の総本山である国際疼痛学会(IASP)が、「組織損傷がなくても、痛みを感知する脳の機能の変調によって痛みが発現することがある」ことを公認し、「nociplastic pain(痛覚変調性疼痛)」という概念を発表して以来、これらの疾患は、痛覚変調性疼痛によるものであろうと考えられるようになっている。
確定診断の方法や治療法については現在まだ議論があるが、中枢性疼痛であるため、末梢への治療は無効であり、中枢に作用する薬物や、認知行動療法が奏効すると考えられている。