非外科的歯内療法
- 【読み】
- ひげかてきしないりょうほう
- 【英語】
- nonsurgical endodontic treatment
- 【書籍】
- ザ・クインテッセンス 2025年6月号
- 【ページ】
- 63
キーワード解説
非外科的歯内療法は、一般に「根管治療」として知られ、感染した根管内の組織や細菌を除去し、清掃・消毒を行った後、根管を密閉する手技である。この方法の大きな利点は、侵襲が少なく、患者への身体的負担が軽減される点である。適切に実施されれば長期的な安定性が期待できる治療法であるが、抜髄根管の成功率は85%、未治療の感染根管は80%、再治療の感染根管は56%と報告(松島潔,2021)されており、すべての症例において安定した治療効果が得られるわけではない。
また、歯の解剖学的形態や状態によって治癒の難易度が左右される。とくに、根管形態が破壊されている場合には成功率が47%にまで低下すると報告(Gorni FG,2004)されている。さらに、破折ファイルや石灰化した根管の存在は治療の障害となりうる。これらの困難な条件では、感染が根管内に残存し、結果的に治癒が得られない場合がある。