歯性上顎洞炎の病態分類
- 【読み】
- しせいじょうがくどうえんのびょうたいぶんるい
- 【英語】
- clinical classification of odontogenic maxillary sinusitis
- 【書籍】
- 口腔外科YEARBOOK 一般臨床家,口腔外科医のための口腔外科ハンドマニュアル’25
- 【ページ】
- 60、61
キーワード解説
野口ら(2025)が提唱した歯性上顎洞炎における病態分類で、Ⅰ期とⅡ期に分けられる。各病期における診断と治療は、以下のとおり。
Ⅰ期:歯性病変の悪化により上顎洞粘膜に肥厚が生じているが、中鼻道自然口ルート(OMC)は開存し、上顎洞内の含気が頭側で維持され、歯性病変と上顎洞は交通したうえで上顎洞底部を中心に粘膜の肥厚がみられるもの。いわゆる限局型の歯性上顎洞炎。OMC周囲の上顎洞内の含気が維持されている場合や、消炎処置によってOMCの浮腫が消失し、洞内の含気が回復する場合は、内視鏡下副鼻腔手術(ESS)による治療は不要で、原因歯に対する歯科的アプローチで対応する。
Ⅱ期:歯科用コーンビームCTで上顎洞内に歯由来の病変が存在し、上顎洞粘膜に炎症が波及して、すでにOMCの閉鎖と上顎洞粘膜の肥厚がみられ、含気を失ったもの。複合型の歯性上顎洞炎。このような病態の場合は、抗菌薬による消炎や保存療法を行い、それでもOMCの閉鎖が改善されなければESSが必要で、耳鼻咽喉科との連携が必要となる。