下顎前方牽引装置
- 【読み】
- かがくぜんぽうけんいんそうち
- 【英語】
- mandibular advanced devise
- 【書籍】
- ザ・クインテッセンス 2025年8月号
- 【ページ】
- 36
キーワード解説
閉塞性睡眠時無呼吸(OSA;Obstructive Sleep Apnea )の治療に対しては、口腔内装置のなかでも下顎前方牽引装置(MAD;Mandibular Advanced Devise)が効果的な治療装置として用いられている。MADとは、上下顎の装置を装着し、下顎を前突させた状態を終夜維持することで、舌全体が前方へ移動し、気道の狭窄を防ぎ、夜間の呼吸を促進する治療である。
MADは気道の狭窄を防ぐことが目的であるため、睡眠中の上気道の閉塞による呼吸障害であるOSAが治療の対象となり、中枢性睡眠時無呼吸が優位の患者には、治療効果を期待できない場合がある。一般的に軽症~中等症のOSA患者に対して行われる治療だが、日本呼吸器学会のガイドライン(2020年)では、持続陽圧呼吸療法(CPAP;Continuous Positive Airway Pressure)が使用できない重症のOSAにもMAD治療が推奨されている。