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氷食症

【読み】
ひょうしょくしょう
【英語】
pagophagia
【書籍】
QDT 2025年10月号
【ページ】
13

キーワード解説

氷を強迫的に摂取する異食症(pica)の一種。鉄欠乏性貧血との関連がもっとも強く指摘される。発症機序は未解明だが、鉄欠乏により脳内の体温調節中枢や味覚中枢の機能異常が起こり、氷の摂取が口腔内の熱感を和らげるとする説、あるいは口腔粘膜や味蕾など末梢感覚器の変化によるとする説が存在する。氷食症は歯の破折や咬耗、顎関節症などを誘発しやすく、歯科領域でも臨床的に無視できない。とくに補綴・歯科技工においては治療計画や予後に影響を与える可能性が高い。異常な咬耗や補綴装置の破損の背後に氷食行動が存在することを念頭に置き、全身状態を含めた包括的対応と医科‐歯科連携を通じて患者の口腔機能と全身健康の双方を守ることが求められる。