専門情報検索 お試し版

アングルの咬合の分類

【読み】
あんぐるのこうごうのぶんるい
【英語】
Angle’s classification of occlusion
【辞典・辞典種類】
新編咬合学事典
【詳細】
1899年、アメリカの矯正学者Angleにより示された咬合の基準。アングルの咬合の鍵とも呼ばれる。上顎第1大臼歯は乳歯列の最後端に最初に萠出する永久歯で、その位置が変位しないこと、最大咀嚼力を有すること、などを理由にAngleはこの歯の位置が不変であるという仮説を立て、これに基づき不正咬合を次のように分類した。なお分類の際に、正常咬合からずれていると判定する目安については、半咬頭以上としている。
1)第I級 ClassI
上下顎臼歯の正しい嵌合関係により上下顎の前後関係が正常であることが示されているが、その他の部位に歯の叢生や捻転の認められる場合(正常咬合normal occlusionまたは中性咬合neutralocclusion)。
2)第II級 ClassII
下顎第1大臼歯が上顎第1大臼歯に対し正常より遠心に咬合し、下顎歯列弓が上顎歯列弓に対して両側または片側で正常より遠心に咬合している場合(下顎遠心咬合distocclusion)。
(1)第1類 division 1
両側性の下顎遠心咬合で、上顎前歯の前突をともなう場合、多くは、口呼吸者である。片側性の下顎遠心咬合で、上顎前歯の前突をともなう場合を細分類subdivisionとする。
(2)第2類 division 2
両側性の下顎遠心咬合で、上顎前歯の後退をともない、かつ正常な鼻呼吸者である場合。片側性の下顎遠心咬合で、上顎前歯が後退し、かつ正常な鼻呼吸者である場合を細分類subdivisionとする。
3)第III級 ClassIII
下顎第1大臼歯が上顎第1大臼歯に対し、両側または片側で正常より近心に咬合している場合(下顎近心咬合mesio occlusion)。通常、前歯部は交叉咬合anterior cross biteになる。片側性の下顎近心咬合である場合を小区分subdivisionとする。
アングルの不正咬合の分類は、簡明で、その判定に特殊な装置を必要としないため、現在でも広く用いられている。しかし第1大臼歯の位置的関係は上下顎歯列の相対的位置関係の基準になっても、顔面頭蓋に対し適正に位置づけることは困難であり、また上顎歯列弓自体の近遠心的な異常も考えられるため、この分類法には矛盾があるとする意見が多い。