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インサイザルポール

【読み】
いんさいざるぽーる
【英語】
Incisal pole
【辞典・辞典種類】
新編咬合学事典
【詳細】
⇒切歯指導桿
咬合器の上顎フレームの最前方に接続し、垂直顎間距離を維持するためのポール。インサイザルポール、または切歯指導釘ともいう。切歯指導機構を構成する。上顎フレームと下顎フレームを平行に保つためにも用いられる。下顎フレームの前方におかれた切歯指導板によりガイドされ、切歯路を再現する。
GPT-6では“咬合器の一方のフレームに固定された剛性の棒で、他方のフレームに取りつけられた切歯指導板に接触させて使用する構成部品。咬合高径を保持する目的に用いられる。切歯指導板と指導桿は、顆路誘導機構と連帯して、咬合器の上下顎フレームの相対運動を誘導する。”と定義している。ちなみにGPT-6で用いられている“pin”は“釘(くぎ、またはてい)”と直訳するのが普通であるが、実体は定義にあるように棒rod状のものであるため和名では“桿(かん)”を採用した。なお英語ではボウリングの標点柱、ゴルフでホールの位置を示す旗のさおもピンという。
切歯指導機構はGysiによってはじめて咬合器に取りつけられた。それ以前には、咬合器の左右の関節部の中央にもうけた支点により上下顎フレームの高さを保持していた。Gysiはこの機構を咬合器の前方に移すことにより、切歯点により描かれる運動路を、下顎運動の要素として独立させることに成功した。歯列は切歯点と顆頭の中間よりも前方寄りに位置しているため、切歯路の役割りは大きく、これを再現することにより、咬合器の再現性を飛躍的に向上させることができた。Gysiの切歯指導機構の発明は、咬合器の発展の歴史のうちでも、特筆に値する業績と評価されている。
切歯指導桿には2種類ある。1つは、指導桿が直線で構成され上顎フレームに対して直角に貫通するものである。このような切歯指導桿をもつものに、ホビー咬合器、ウイップミックス咬合器、ハノー・モデルH 2-O咬合器などがある。他は、切歯指導桿に咬合器の開閉軸に対する曲率彎曲を与えたものである。このような切歯指導桿をもつ咬合器では、垂直顎間距離を変えても、切歯指導板上にある指導桿の先端を常に一定の位置に保つことができる。技工操作中に垂直顎間距離を変更する場合は、この形式の切歯指導桿を用いるとよい。このような切歯指導桿をもつものには、スチュアート咬合器、デナーD 5 A咬合器などがある。全調節性咬合器は、すべてこの形式の切歯指導桿をもっている。
Guichetは自分の開発したデナーD5A咬合器の切歯指導桿の先端にホリゾンタル・オーバーバイト・アジャストメントを備えつけることを考案し、オーバージェットの量を調節できるようにしている。下顎模型の中切歯の切端が上顎模型の中切歯の口蓋面に接するまで上顎フレームを後退させ、このとき切歯指導桿の先端の足部が、切歯指導桿の斜面に接触するように固定する。この位置と中心位における切歯指導桿の足部の後縁との間に現われるスペースが、オーバージェットになる。切歯指導桿の足部の側面には目盛りが刻まれており、オーバージェットを1/5mmの精度で読み取れるようになっている。ツインホビー咬合器では、咬合器の運動を適確に行なわせるため切歯指導桿の先端を半球状でなく、ブレード状の尖ったものとしている。
⇒切歯指導板