開口反射
- 【読み】
- かいこうはんしゃ
- 【英語】
- Jaw opening reflex
- 【辞典・辞典種類】
- 新編咬合学事典
- 【詳細】
- 顎反射のひとつで、舌顎反射とも呼ばれる。多シナプス反射で歯や口腔粘膜組織などを損傷しないようにする防御反射のひとつである。この反射は上顎神経や下顎神経の支配する口腔領域の刺激(多くは痛刺激や機械的刺激)によって惹起される。口腔周辺の皮膚、口唇、口蓋、歯肉、歯、歯周組織、舌、口腔粘膜などに強い痛覚刺激が加わると、口が反射的に開くことから、その存在を知ることができる。上下顎の歯がすでに強く咬合接触しているところへ、さらに強い力が加わり、歯や歯周組織が損傷されそうになるとこの反射がおき、下顎の運動が巧妙に制御される。したがって、上下顎の歯が接触している場合は、下顎はそれ以上閉口方向へは動くことがない。そのため、このような状態では閉口筋は収縮しても、その長さを縮めず、筋緊張だけが増加し、等尺性収縮を起こす。そして腱中のゴルジ腱受容体が働いて、インパルスは三叉神経運動核中の閉口筋支配ニューロンの活動を抑制する。そして、反射的に開口筋の緊張が抑制されて口は緩む。しかし、さらに強い力が加わったり、硬い物を噛むようなことがあると、このゴルジ腱受容体を介する制御機構の他に、噛み合った歯の歯根膜(総義歯の場合は義歯床下の粘膜)の痛覚受容体が刺激される。そして疼痛のインパルスが三叉神経知覚核を介して、三叉神経運動核に働きかけ、閉口筋支配の運動ニューロン活動を抑制するとともに開口筋支配の運動ニューロン活動を刺激する。その結果、閉口筋緊張が反射的に抑制され、また開口筋が収縮して口が開くようになる。
⇒顎反射