開口量
- 【読み】
- かいこうりょう
- 【英語】
- Mouth opening
- 【辞典・辞典種類】
- 新編咬合学事典
- 【詳細】
- 被験者が最大開口を行なった場合と咬頭嵌合位との上下歯列間の距離の差、または、単に最大開口時の上下歯列間の距離で、通常は切歯部において計測される。患者の自力でもっとも大きく開口する際の開口量は自力最大開口量または能動最大開口量と呼ばれる。正常者の開口量は研究者によって若干の差はあるが、男性で平均値で45~50mm、女性で平均値で45mm前後である。
開口量は患者の頭位(田外ら 1995、酒井ら 1998)や姿勢によっても影響を受けることがあるので、頭蓋下顎障害の診断時および治療中、さらには予後観察での開口量の計測にあたっては再現性の高い状態で行なうことがよいと考えられる。具体的には背板や按頭台から体を離し、頭部はまっすぐ前方を向き、水平の頭位で、脚を自然に下ろした状態が望ましい。通常は患者の自力最大開口量が計測される。開口量の測定方向は種々試みられているが、たとえばフランクフルト平面を基準とする場合には下顎の回転が下顎の後方運動として表現されるため不便である。一般的には顎関節部と切歯点を結ぶ平面付近を基準に測られる。
患者の自力最大開口量に対し、術者が2~3kg程度の力を加えて得られる受動的最大開口量はこれよりも通常2~3mm大きな値となる。また、受動的開口量を測定する際に術者が受ける抵抗感はエンド・フィールと呼ばれる。顎関節症患者では時折、自力最大開口量と受動的最大開口量の差が10mm以上の大きな値をとることもある。